バルサを立て直すための4つの緊急提言

バルサを立て直すための4つの緊急提言

2019-2020シーズンのバルサは、チャンピオンズリーグのベスト4をかけた決勝トーナメントでバイエルンに2-8のスコアで敗れ衝撃的なかたちで幕を閉じた。

近年のバルサは、名将グアルディオラが監督を退任して以降、中心選手の離脱や高齢化、戦術の劣化など、チーム力は右肩下がりであったが、メッシの決定力などにより問題を覆い隠してきた。

その問題が、くしくもコロナウイルスが世界中に蔓延しているこの年に一気に噴出した格好だ。

クラブは急ぎ、新監督に現役時代はバルサで輝かしいプレーを披露した元オランダ代表のクーマンを2年契約で就任させたが、この混迷を乗り越えるにはどうしたらいいのだろうか。

混迷を乗り切るための緊急提言をしてみる。

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バルサのイズム(アイデンティティ)を取り戻せ!

クライフが礎をつくり、グアルディオラが一つの完成型を提示して見せた美しくボールの動くサッカーを追求するという建前を持ちながら、現在は勝利至上主義に陥っている。

しかし、勝利至上主義と言いながらファイトをするわけでもなく、非常に中途半端だ。

グアルディオラ以前は負けるときも何かしらバルサらしい攻撃的なサッカーの印象を残して敗れたものだが、今は、負けるときは何もせず負けているといった印象だ。

今こそ、美しく負けるという美学に立ち戻るときだ。クライフの「1-0で勝つより3-4で負けるほうが好き」といった有名な言葉もあるが、まずはチームの価値観をここにすり合わせるべきだ。

これにより、どんなに状況が良くなくてもクラブ首脳陣、選手、コーチ、スタッフの向いてる方向がぶれることはなくなるはずだ。

ピッチを広く使う基本コンセプトに立ち返れ!

昨今はメッシありきでメッシの能力を最大化する名目でメッシに相性の良い万能型の選手を攻撃に配置する傾向が強く、補強戦略もそうなっている。

メッシは世界最高の選手であり、彼のできることをできる選手は世界中探してもいないことからこの考え方は論理的ではあるが、ネイマールが抜けて以降効果的だった試しは一度もない。

グアルディオラがピッチの選手配置とボールの動かし方をいわゆるポジショナルプレーとして一段進化させることとなったが、それ以前はクライフ有史以来、伝統的に両翼に縦突破に強い選手を張り出して置き、4番の選手がそこに的確なタイミングと正確なグラウンドパスでボールを配給し、ピッチの幅を広く使うことを基本コンセプトとしてきた。

これにより中央でギャップをつくり、常にピッチ内に複数のパスコース、ランニングスぺ―ス、を確保することで多彩な攻撃を可能にしてきた。

今こそわかりやすくこのコンセプトに立ち戻るべきだ。

そうすれば、今以上に中央のスペースをメッシが陥れることが可能になるからだ。

また、こうすることで、メッシに気を遣うことで攻撃時のチームとしてのエネルギッシュさがなくなってしまうシーンが減るという効果もある。

常にメッシに頼るのではなく、両翼を担う選手は自分の持ち分であるエリアで野心的なプレーをする機会が増えるからだ。これにより相手チームの意識もメッシから分散されるはずだ。

ただ、現有の戦力では適した選手はほとんどいない(唯一適性を有しているのはデンベレのみ)。新たな攻撃の選手を獲得する必要があるため、すぐに実現するのは難しいかもしれないが、複数年かけてでも検討すべきだ。

このコンセプトに立ち戻れば、メッシとの相性を意識する万能型の選手に高い金を払う必要はなくなる。昨今のすべて失敗と言っても過言ではない大型補強の問題は少なからず解決に向かうだろう。

イズムとコンセプトの中にメッシを位置付けろ!

世界最高の選手を使わない手はない。メッシの存在がチームを弱体化させてるという意見を持つ人もいるだろうが、それはナンセンスだ。

歴史に残るスコアをたたき出し世界中の誰もできないプレーをやってのける選手がいらないなんて馬鹿げている。

今の問題は彼ありき(彼の存在が最上位)でクラブや監督が補強戦略や戦術、チームマネジメントを組み立てているところにある。

上記したようなクラブのアイデンティティとコンセプト(企業経営的に言えば価値観とビジョン)を改めて定義し、それらを最上位に置きなおすべきだ。

それありきの中でメッシの能力をいかに最大化させるかの思考に監督やメッシだけでなく、クラブや他選手、コーチ、スタッフ全員がシフトすべきだ。そうした秩序の中であればメッシの存在がマイナスになることはあり得ない。

さらに、メッシが仮に引退等でクラブを去る場合、今の状態だと、ゼロからチームをつくり直す必要が出てくる。つまり、すべてを変える必要が出てきてしまう。これでは立て直すのに長い年月がかかる。

その空白期間をつくらないようにするためにもメッシの位置づけを整理するのは重要なことだ。

メッシ後のバルサに向けた中長期的な選手補強・育成に着手すべし!

メッシも人間。恐らくあと2~3年で引退あるいは一線級のプレーから後退することになるだろう。

メッシの存在はバルサの歴史といっても過言ではない影響力のあるものだったからこそ、早め早めに中長期的な観点で抜けた後の影響を最小限に食い止める努力を始めるべきだ。

今までのように、あるいは他の名門クラブのように行き当たりばったりではうまくいかないことは明白でもあるからだ。

イズム・コンセプトの再構築とあわせて検討すべきなのは、なんといっても選手のレベル維持だ。

今後の選手補強・育成に関しては、必要条件はイズム・コンセプトを体現できること、十分条件は純粋にメッシ後のサッカーレベルの低下を最小限に抑えることのできるクオリティを有していること、とすべきだ。

バロンドールを6度受賞した世界最高の選手が抜けてレベルが落ちないことはあり得ないが、それを最小限に食い止める努力を尽くすことはできる。

具体的には、メッシをコンセプト上に配置し直した後、メッシが抜けた後はプレースタイルの近い新たな選手を同じ場所に配置するというものだ。

コンセプトにおけるメッシの役割を整理しておけば、プレースタイルが近ければ近いほど新たな選手の配置は容易になり、急激な変化によるチーム力の低下が最小限に抑えられるはずだ。

プレースタイルが近い選手も既にいる。この提言が実現されることを期待したい。

クラブとクーマンにはこれらの立て直しを2年かけて行い、クーマンにはぜひ契約期間を全うしてほしい。

こうしたクラブ基盤の整備が行われれば、2年後恐らく監督に就任するであろうシャビはこの基本的なベースからクラブを強く華やかなものにしてくれると思うからだ。