久保建英マッチレポート レアル・マドリードVSヘタフェ(2020-2021ラ・リーガ第1節)

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試合結果
2-0 マドリー勝利
試合トピックス
13分 マドリー、CKからベンゼマがヘディングシュート。キーパーがセーブ
36分 マドリー、ペナルティエリア付近でモドリッチがシュート。キーパーがセーブ
47分 マドリー、スルーパスからベンゼマが抜け出しペナルティエリア内でシュート。キーパーがセーブ
54分 久保IN、ポルティージョOUT
59分 マドリーGOAL>>右サイドのクロスからベンゼマがヘディングを合わせゴール
65分 マドリーGOAL>>左サイドのマルセロの低い弾道のクロスに上がってきたメンディがゴール前で合わせゴール
久保・ヘタフェ詳報
ヘタフェはこれまでスタメンとして起用していたマタ、久保、アレーニャの攻撃陣をすべて他の選手に入れ替えて試合に臨んでいる。
格上のマドリー相手に勝ち点を狙いたいということと、ここ数試合における複数失点からの立て直しを図りたいということを意図した守備的な布陣である。同時に失点を抑えたまま時計の針を進め、後半の勝負所で攻撃陣の3人を投入するであろうことは誰の目にも明らかであった。
実際に54分に3人を投入するまではその目的を達成し予定通りに進む。
しかし、そこはCLタイトルの最多獲得数を誇り世界一の勝負強さを持つレアル・マドリー。3人の投入で前掛かりになったヘタフェの隙を見逃さずベンゼマのゴールで勝負を決めてしまった。
そして65分には、左サイドをコンビネーションで破り、サッカー的に美しいゴールをきっちり決めゲームをクローズさせた。
こうなるとヘタフェに打つ手はなく、終わってみれば実力差通りの内容と結果に終わったと言わざるを得ないだろう。
さて、久保であるが、プレー自体は悪いものではなかった。
得意のドリブルで相手を外し、チームに前への推進力を与えるプレーを数は少ないものの見せた。
しかし、試合の結果に影響を及ぼすようなものではなかった。
この点については、引き続き、久保個人、チームとしての改善が両面で必要である。(これまでのマッチレポートで筆者が言っている通り。)
なお、久保個人の改善についてもう一点付け加えるのなら、もう少し一人でやりきることを意識してもいいかもしれない。
高いサッカーIQによる瞬時の戦況判断から正しいプレーを選択することができるのが久保の特長の一つだが、あえて100点満点ではない選択だとしても一人でフィニッシュまで行くことに集中するのである。
久保は、ドリブルやボールの置き方に関するスキルは誰にも真似できないものを持つスペシャルな選手である。ボールと自分にフォーカスを当てたプレーを増やすことによりボールロストが減ることは間違いないし、フィニッシュに対するプレーの幅が広がるのではないだろうか。
久保のボールロストが多く見えるのは、久保が二手三手先を見越したプレーをする選手だからである。自分とボールに他の選手ほど集中せずスペースやプレーアングルをすべて計算して次、次、次のプレーへの選択肢を多数持ちながらボールタッチと置き方に工夫を凝らす。だから味方の動きなどで目論見がずれるとリズムが狂いそれがボールロストにつながる。(逆に言えば昨季後半戦のようにリズムがいいとスルスルと相手を抜きマジカルなプレーを連発するということでもある。)トラップ技術など単純なテクニックは明らかに高いのにロストが多く見えるのはそういうわけである。
こうしたプレー特性を持つ久保にとっては、ロストがあればあるほど、よりネガティブな状況に陥りやすい(ロスト→味方からの信頼を失う→味方が信頼して動かなくなる→得意のプレーがますますできなくなる→リズムが悪くなる→ロスト、という負のサイクルになる)。ましてや今のヘタフェのようにチームが不調で久保自身も結果を出せておらず精神的にプレッシャーのかかっている状況であればなおさらである。
だからこそ、今は本人にしてみれば凡庸なプレーだとしても一人でやり切るプレーにフォーカスしてもいいのではないか、ということである。
ちなみに、イニエスタやメッシもロストをするときはあるが、その理由は久保とほぼ同じ性質のものである。ただ、彼らは久保よりも成功率が格段に高い。久保が彼らに近づくにはこの部分でもレベルアップの必要がある。が、こうした能力は天に選ばれた選手にしか持ちえないものである。持っていない選手にレベルアップして近づけとは言えない。だからこれを日本人選手で唯一言える久保には期待してしまうのだ。
いずれにせよヘタフェでの冒険は続く。期待したい。
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