久保建英マッチレポート 日本代表VSカメルーン代表(2020.10.9国際親善試合)

久保建英マッチレポート 日本代表VSカメルーン代表(2020.10.9国際親善試合)

【関連記事】

Advertisement

試合結果

0-0 引き分け

試合トピックス

22分 日本代表、コーナーキックから吉田がヘディング。キーパーがファンブルするも得点ならず

64分 久保IN、堂安OUT

94分 日本代表、右サイドのFKを久保が直接狙う。キーパーとポストに阻まれる

Advertisement

久保・日本代表詳報

日本代表は従前どおり4-2-3-1でスタート。メンバーも従前どおりのもので代表歴の長い順で並べている。目新しかったのは、招集メンバーの兼ね合いもあり、中盤底に入った中山と左サイドバックに入った安西である。タイトにディフェンスをしながらアジリティを生かしたコンビネーションによるショートカウンターを基本コンセプトにおいた戦術であった。

しかし、十分なパフォーマンスではなかった。カメルーンの身体能力とストライドを生かしたボールキープからのパスワークやディフェンスに久保が出るまで日本はほぼなすすべなかった。相手に決定的なチャンスを作らせていないことから、一見数的有利を意識しながらのディフェンスは機能したように見えるが、この点に関してはトレーニングマッチであることを大きく差し引く必要がある。

トレーニングマッチでこれだけボールを奪えなければ、本番はもっと奪えないし、本番の緊張感でこれだけ身体能力の優れた相手に身体接触を伴ういわゆるデュエルを遂行し続けるとチームとしてのスタミナは持たないだろう。早い選手は前半で、他の選手も後半15分くらいで足が止まる、あるいは足がつるなどの状況に陥るであろうことは過去の大会から考えても想像に難くない。

つまり、攻撃の時間、ボールホルドをしている時間をもっと作る必要があるが、久保が出るまでほとんどそれができなかったことは問題だ。もちろん、久しぶりの代表活動であったことから、意思疎通や連携がうまくいかない場面もあったことは考慮されるべきだが、これだけイチかバチかのディフェンスからのこぼれ球狙いのショートカウンターに偏重していては日本に分があるわけもない。早急な対応が必要だろう。

そうした中で、唯一の収穫は南野の守備と久保の個の力である。

まず、南野であるが、彼のチェイスとディフェンスがクロップ色・リバプール色の強いものとなっていた。切り替えの早さ、チェイスのタイミング、追い方・アタックのコース取りは日本の切り替えのスイッチになっていた。個ではなくコンビネーションで推進力を発揮する選手なので、チーム同様攻撃では見せ場がなかったが、守備についての戦術遂行力は高く、チームの守備戦術のレベルを上げることにもつながっていた。

そして、久保である。この日は64分から途中出場になっている。後半から3-5-2のフォーメーションに移行していたが、その中盤5枚の一番前(トップ下)に配置されている。周りのメンバーも急造であったため連携ミスもあったが(一概に久保のミスとするのは短絡的だろう。久保に出すパスの質とタイミングがあまりにも悪かった。クオリティの高いビジャレアルのプレーに慣れている多くの人にとっては久しぶりに感じたフラストレーションでもあっただろう。)、日本で唯一個のレベルで相手に対する優位性を見せている。

左サイドで一人抜きクロスを上げたシーンは象徴的で、一対一で抜いた後意図の明確なクロスを供給している。相手に対する完全な優位性がないと披露できない質のプレーである(ちなみに比較対象として鎌田のグラウンダーのクロスから原口がシュートを放った場面を挙げるが、これは相手を抜けない鎌田が”これくらいのスピードでこの辺にこのタイミングでボールを入れればディフェンスを抜けてチャンスになるだろう”というプレーだ。経験値からの標準的な質のプレーであるが久保の突破からのパスとは質の差がある。鎌田のプレーは相手が互角以上の選手である場合のものだが、久保のプレーは相手に対する優位性を有するものである。)。

実際その直後久保に抜かれた選手をカメルーンは代えている。恐らく何も手を打たなければ残り時間でやられると思ったのだろう。

また、終了間際のFKからのゴール強襲は角度のない中でも左足でリラックスしてプレーすれば相手に脅威になることの証拠でもあるだろう。これらのプレーの意味するところは、本大会のレベルでも日本で唯一個で違いを生み出せる、チームに優位性をもたらせる選手ということだ。

一方、森保監督の采配だが、これには疑問が残る。筆者はこの欧州遠征からW杯本大会仕様に大きくモードチェンジすべきと考えていたが、これまでの積み上げを優先している。スタートメンバーもフォーメーションも戦術もそうだ。守備戦術については南野のおかげで形にはなったが、本大会で勝ち点を取るためには上述したように不十分だ。アジアレベルではない本大会レベル攻撃面・ボールホルドの面での戦術構築が必要だ。

【関連記事】

バイタルエリアでのアジリティとコンビネーションによるラストプレーは戦術云々ではなく選手間の共通理解による即興でもいいが、そこにいくための戦術は必要だ。ショートカウンターからというコンセプトしかないのは問題だ。

いわゆる”ティキタカ”や”日本らしいサッカー”は必要ないがボールホルドの時間をつくってそのときに相手に攻め入るための戦術は必要だ。つまり、相手に対してポジショナルな意味で優位性を確保する必要がある。幸運にもそうした課題を一挙に解決できる久保建英という選手がいるのに、なぜスタートからの時間を与えないのか。

ここ最近特に思うが、久保に対してはどこの監督もその起用について、特別神経質に意識しているように感じる。ポジションは結果で勝ち取るべき、彼にわざわざ用意するようなことはしない、特別な存在として扱わない、だから時間も長時間与えない、そこから這い上がってもらう、と自分に言い聞かせているようでもある。

ここまで起用に対して神経質な雰囲気を感じさせたのはトルシエ時代の中村俊輔くらいではないだろうか。プレーに華があり特別な才能と輝きを有する選手の宿命でもあるが、本大会で勝ち点を取るためには久保の力が必要なのは明らかで、日本サッカーのクオリティを上げることのできる存在であることも明らかだ。そして久保は勘違いしたりそれで成長が止まったりする選手ではない。

加えて言うなら、森保監督が就任時から重宝している南野や堂安だって就任前は別に代表での結果は出ていなかった。就任に伴い若返りをはかって大きくチャンスを与えたのではないか。久保に対してもフラットな判断を期待したい。

彼ほどの選手を可能な限り長い時間ピッチに置かないのはチームにとって損失だし、これまでの日本代表のやり方通り次の大会の新監督からの中心選手では成長速度も上がらない。彼は出れば出るほど成長し、チームに好影響をもたらす。だから早く10番も与えるべきだと思っている。

【関連記事】

森保監督の正当な判断を期待する。

【関連記事】