久保建英マッチレポート 日本代表VSコートジボワール代表(2020.10.13国際親善試合)

久保建英マッチレポート 日本代表VSコートジボワール代表(2020.10.13国際親善試合)

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試合結果

1-0 日本代表勝利

試合トピックス

1分 日本代表、ペナルティエリア内で鈴木のグラウンダーのクロスから久保がダイレクトで左足シュート。枠をとらえられず

57分 日本代表、鎌田がペナルティエリア内でシュート。キーパーがセーブ

60分 久保OUT、南野IN

69分 日本代表、鎌田の粘りから南野がペナルティエリア内でシュート。キーパーがセーブ

90分 日本代表GOAL>>柴崎のFKから植田がヘディングで合わせる

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久保・日本代表詳報

カメルーン戦から先発メンバーを大幅に入れ替えてスタート。4-2-3-1のトップに鈴木武蔵、攻撃的MFに左から久保、鎌田、伊東の並びでスタート。今まで一度も同じピッチに並び立ったことのない布陣であったためカメルーン戦同様連携に難を抱えていたことには間違いない。

ただ、その中でも個々人の特徴をチーム全体で把握していることがうかがえた点についてはポジティブに捉えていいだろう。これから先代表活動で時間をとれることは少ない。こうした共通理解を深めるスピードは上げていく必要があるが、欧州でプレーしている選手はこれに関して一定の共通の基準が自身の中にあるため、以前の代表ほど大きな問題にならないことが証明されたのは安心材料と考えていいだろう(問題はいわゆる国内組と混成のチームになったときにここまでうまくいかないことだが)。

なお、共通理解という点で最もよかったのは守備の切り替えに関する部分だ。少なくとも切り替えに関する意識と一対一で戦う意識、危険なコース・スペースをケアする意識は欧州基準のそれだった。欧州でプレーする選手のみの招集となったメリットはここに一番出ていたように感じる。

もちろんトレーニングマッチであることを差し引く必要はある。このレベルの相手(本大会レベルの相手)だと、この試合もそうであったように、それでも相手のほうが優れているシーンが多い。だが、最低でもチームとして90分これくらいは集中していないといけないというベースは構築できたのではないか。

一方で課題はやはり攻撃と言えるだろう。こうした守備意識については合格点だが、この守備を特に本番の緊張感の中で90分もたせるのは至難だ。ボールホルドの時間、自チームが能動的なアクションをとれる(相手を受け身にさせる)時間を増やさなければならない。守備の破綻を起こさないようにすること以外にも攻撃に割くエネルギーを維持することにも必要だからだ。

カメルーン戦の課題でもあったが、この試合では残念ながらそこに関する改善は見られなかった。試合には運良く勝ったものの、不安の残る点だ。(ちなみにこういう運は公式戦にとっておきたいものだが、日本代表はいつも親善試合で使い果たしてしまう印象がある(笑)。)

さて、久保であるが、この試合では左サイドの攻撃的MFとしてスタートから起用されている。これにはいくつか理由が考えられる。

まず一つは、森保監督は上述の攻撃面における課題をクリアするのに本大会レベルの相手でも個の力で自チームに優位性をつくり相手に劣勢を強いることのできる日本代表における唯一の存在である久保を重要視しており、だからこその起用になったと思われる点だ。

次に、左サイドというポジションに配置した理由だ。攻撃的MFより前ならどこでもできる選手だが、本人にとっては最も不得手とするポジションに配置したのはなぜか。それは、久保が左でも右やトップ下と同じようなクオリティのプレーを披露できるようになればチーム力への見返りは大きいからだ。

つまり、久保を絶対外せない選手として、トップ下・右・左・偽9番とどこでも配置できることを軸に、スカッドと戦術を構築することが可能になる。縦に力のある伊東、コンビネーションで前への推進力を発揮する南野、ドリブル突破でギャップを作ることのできる中島などの駒を相手やシチュエーションにあわせて配置し戦術的に使えるようになるというわけだ。そして久保という活動期間の少ない代表にとって重要なチームコンセプトを体現する選手は変わらずピッチ内に置き続けることができる。

この試合でのこうした久保の起用は、久保を中心とした本大会仕様のチーム作りに着手したということでもあるだろう。筆者はこの欧州遠征から本大会仕様のチーム作りに着手せよ、そしてそれは久保を中心に据えることだ、と言ってきたが、これに関してはその通り着手したと考えている。

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なお、この試合の久保のパフォーマンスについては、不十分であったことは事実だろう。随所でクオリティの片鱗は見せているが、片鱗ではなく決定的なプレーで見せて欲しかったのが監督・チームメイト・我々ファンの率直な思いであることは間違いない。この欧州遠征でも久保には大きな期待とともにプレッシャーが増大化していることを強く感じるが、ぜひ乗り越えて欲しい。

この試合でも良いときには見せないような力みがプレーに見て取れ、それがプレークオリティを下げるシーンにつながっていた。クラブで出場機会が少ないことも精神的に影響しているのだろう。今季の最初の壁だ。乗り越えることは間違いないが、乗り越えるスピードをぜひ上げて欲しい。

未だかつて日本代表において10代の選手がここまでプレッシャーをかけられたことはなく、とてつもなく高いハードルだが日本史上最高の選手、世界トップを狙う選手にとってはある意味当然のハードルでもある。

久保のこの状況は幸いにもビジャレアルでのそれと同じものだ。クラブと代表とで同じ壁にぶつかっているということは、乗り越え方も乗り越えるタイミングも同じになる可能性が高い。これを乗り越えた時さらにスケールアップした選手になることは間違いない。聡明な彼もわかっているだろう(だからこそ力みが見られるということもあるだろう)。引き続き期待を膨らませ追っていきたい。

彼の進歩が日本代表の進歩と言っても過言ではないのだから。

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