久保建英マッチレポート ビジャレアルVSアラベス(2020-2021ラ・リーガ第4節)
- 2020.10.01
- サッカー

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試合結果
3-1 ビジャレアル勝利
試合トピックス
12分 ビジャレアルGOAL>>右サイドバックのマリオ・ガスパールのグラウンダーのクロスにパコ・アルカセルがダイレクトシュート
24分 ビジャレアル、ペナルティエリア内に侵出した左サイドバックのエストピニャンがシュート。キーパがセーブ
37分 アラベスGOAL>>ロングフィードからビジャレアルGKアセンホのミスを誘い、エドガルが押し込む
45分 ビジャレアルGOAL>>ペナルティエリア内の競り合いで得たPKをジェラール・モレノが沈める
66分 ビジャレアルGOAL>>モレノのシュートがゴールポストに弾かれるも詰めていたパコ・アルカセルが冷静に押し込む
74分 久保IN、トリゲロスOUT
93分 ビジャレアル、左サイドからペナルティエリア内に侵出した久保が左足でニアサイドにシュート。キーパーがセーブ
久保・ビジャレアル詳報
ビジャレアルは、ミッドウィークの試合であることと前節バルサ戦の大敗、コクランの負傷を考慮し、やや布陣をいじって試合に臨んでいる。変則4-4-2(状況により4-3-1-2あるいは4-3-3)で前にパコ・アルカセルとモレノは変わらないが、中盤はモイ・ゴメス、パレホ、イボラ、トリゲロスを起用。チュクエゼを外し、久保を起用しないかたちであったが、目的はローテーションのほかにバルサ戦で崩壊した守備の立て直しにあったと思われる。
アラベスはどちらかというと縦にダイレクトなプレーを好むチームであることからまずはこれに対ししっかり対応するということだったと思われる。中盤いずれの選手も万能タイプではあるが、守備力はチュクエゼや久保より高いからである。この起用は当たり、クリーンシートとはいかなかったが勝ち点3の獲得には成功している。
久保であるが、この日もこれまで同様試合の終盤74分からの出場となった。投入直後は、パコ、モレノが残っていたこともあり、いつも通りトップ下・右サイドを基本ポジションとして投入されているが、二人が退いてからは、公式戦初の左サイドを基本ポジションとして配置されている。
久保にとっては右サイドやトップ下に比べ不得手な印象のある左サイドであるが、プレシーズン時に比べだいぶ改善されていた。受け方やドリブルコースの作り方も窮屈さが減っていたし、実際にシュートシーンも創出している。
左サイドに配置されたときのメリットは右やトップ下に比べゴールに直結するプレーはしづらいものの左足を使える機会が増えるというものである。
敵ディフェンダーと対峙しながらペナルティエリア内に侵出し左足でニアサイドにシュートを放ったシーンは久保自身にとってもエメリにとっても左サイドにおけるいいイメージとなったことだろう。
久保については、一番気になるのがここまでの起用方針だろう。多くの人同様、筆者もこの試合は久保を先発起用するものだと思っていたが、そうではなかった。
守備の立て直しという目的は理解できるが、ローテーションを考慮すべきミッドウィークの試合であること、相手がアラベスという決して格上のチームではないことなどを考えると、久保のクオリティからすれば、これまで同様長時間起用されなかったことは贔屓目なしに不思議だと思うのが自然だ。
だが、この試合で時間が経過するにつれて、エメリの久保の起用方針の目的をうかがい知ることができた。ここまでの久保の途中出場という起用方針は、従前のマッチレポートでも書いた通り4-4-2のソリッドな攻撃スタイルを確立させ、久保のファンタジーをラストピースとして加えていくというチームビルディングのプランのほかに、久保の左サイドに対する順応への配慮があったのかもしれない。つまり、久保のやりやすいトップ下と右サイドでチームに順応させつつ、左サイドで同じクオリティを発揮させるための良いイメージを植え付け、最終的に左サイドで順応させていくというものである。
確かにエメリは当初から久保を左で使いたい意向を示している。これは、チームのベストイレブンをスタメンで送り込むためには久保を左サイドで起用したいということの表れでもあるが、筆者もどう順応させていくのか気になっていた。
強引に不得手なポジションで使い続けチームのパフォーマンスや久保自身の評価にマイナス点をもたらすのは意味がないし、だからと言って試合で実際にそのポジションで使っていかないといつまでたっても得意にならない。現在の起用方針はだからこそのプロセスなのかもしれない。
久保の起用方針については、エメリの考え方とともに今後もじっくりと追っていきたいが、久保個人にとっては高いパフォーマンスを見せ結果を出し出場時間とポジションを獲得していく努力をすることに変わりはない。
エメリの想定を上回るような活躍を期待したい。久保の才能とクオリティ、さらには学習能力をもってすれば、ナイジェリア代表アタッカーのいる右サイドでもスペイン代表のハイレベルプレーヤーのいるトップ下でもポジション奪取は可能だ。
左サイドをモノにし、右やトップ下でもこれらの選手を上回る選手となったとき、レアル・マドリードのレギュラーとして帰還する道が大きく拓けるはずだ。
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