久保建英マッチレポート ヘタフェVSビジャレアル(2020-2021ラ・リーガ第9節)

久保建英マッチレポート ヘタフェVSビジャレアル(2020-2021ラ・リーガ第9節)

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試合結果

1-3 ビジャレアル勝利

試合トピックス

11分 ビジャレアルGOAL>>ロングフィードからペナルティエリア内のマリオ・ガスパールがヘディングで折り返し、パコ・アルカセルが1トラップからシュート

16分 ヘタフェGOAL>>アランバーリが強烈なミドルシュート

18分 ビジャレアルGOAL>>ペナルティエリア内でパコ・アルカセルからのパスのこぼれ球をトリゲロスが押し込む

40分 ビジャレアル、モレノのスルーパスに抜け出したパコ・アルカセルがシュート。キーパーがセーブ

62分 ビジャレアルGOAL>>ショートカウンターから抜け出したパコ・アルカセルからパスを受けたモレノが右足でゴール

63分 ヘタフェ、ペナルティエリア内でアンヘルがシュート。キーパーがセーブ

85分 久保IN、モレノOUT

 

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久保・ビジャレアル詳報

ビジャレアルはこの試合ではこれまでの配置から少々変更を加えている。変則4-4-2(4-1-4-1でも、4-1-3-2でも間違いではない)で、パコ・アルカセルを頂点に、モレノを中盤より前右目にイボラを中盤下がり目に置くことを基本ポジションとし、パレホ、モイ・ゴメス、トリゲロスに中盤を上下動させるシステムで臨んでいる。これは、高いディフェンスラインの設定による中盤でのハイプレス(肉弾戦)を厭わないヘタフェ対策の布陣であることは明らかであった。

そして、この戦術が見事に的中している。得点のシーンはすべてパレホ、ゴメス、トリゲロスの中盤3人が縦に抜け出すことで生まれている。ヘタフェのハイプレスに屈せず、プレス(密集)の裏のスペースを迅速に突くことで縦への効果的な攻撃を展開し効率良く得点を奪っている。

戦術家のエメリらしい采配でありそれが的中することとなったが、とはいえ、それ以上に素晴らしいのは選手たちだろう。ラ・リーガではバルサ戦以降負けなしで、ELで多くの得点を奪い3連勝を飾っているチームの好調ぶりがよくわかるゲームであった。90分チームとしての集中力は途切れることなく、個々においても的確なプレーを見せており、かなりのレベルの高さである。

これは、チーム内の競争原理も良い意味で作用しているのだろう。現状、久保などELで出場時間の多いグループとリーグ戦で出場時間の多いグループというグルーピングはチーム内でなされているが、双方とも結果を出している。

こうしたことから選手たち全員にポジション争いにおける緊張感が健全に芽生えている印象を受ける。実際にレギュラークラスのチュクウェゼがEL・リーグ戦とも2試合連続で起用されず、獲得後即戦力のスタメンプレイヤーであったエストピニャンやコクランも途中出場が続いている。

また、ゴールを量産中の絶好調のパコ・アルカセルやエースのモレノですら懸命にプレーしていることが伝わってくる。チームとしては素晴らしい状況である。監督エメリの手腕のみならず、シーズン前の補強がはまっている証拠だろう。

さて、久保であるが、残り時間少ない中での途中出場となっている。これは、フル出場を果たしたELマッカビ・テルアビブ戦から試合間隔が短かったことが理由だろう。ましてや、この試合の相手はヘタフェであり、万全のフィジカルコンディションが要求されるゲームであることは戦前から明らかであった。つまり戦術的な観点で短時間の起用にとどまったと見るのが正しい見方だろう。

一方で、3点目を奪って以降は押し込まれる展開が続くという試合展開になったことからこの試合は今季リーグ戦で初めて出番なく終わる可能性もあったがエメリはきちんと起用している。ELでのパフォーマンスなどで評価を高めていることがうかがい知れる出場であった。加えて、モレノとの交代でポジションもそのまま入っていることから、どんな状況でもエースの代替におけるファーストチョイスとしての立ち位置を形成できているのは間違いないだろう。

プレー内容も決して悪くなかった。押し込まれる展開でモレノ同様カウンターの起点になるミッションを主に授けられていたが、ランニングも厭わず、ドリブルで抜きファールももらうという最低限の期待された役割は果たしていた。

そしてなにより、表情がこれまでより明るく、雰囲気も自然なものになっていた点は見逃せない。チームで重要な立ち位置を築いている、あるいはより重要な立ち位置を築いていけることに自信を得られているのではないだろうか。その証拠にこの試合はようやくダブルタッチがきれいに決まっている。ダブルタッチというプレーは自身のリズムが良くないとなかなか試合ではきれいに決まらないものである。久保の得意のプレーの一つであるが、今季ここまで少しずつずれていた。いよいよ本人にとっても良いサイクルに入ってきたのではないだろうか。

しかしながら、久保は本質的にスターターの選手である。途中から監督の指示通りのミッションを一意専心で遂行することを得意とするあるいは途中で流れを変える選手というよりは試合の中でピッチ内のすべての状況を見極めチーム全体に影響力を与えながらリズムをつくっていく選手である。エメリもわかっているはすだ。

次節はマドリー戦の大一番。エメリには久保をスタートから長時間出場させることを求めたい。機は熟した。期待に応え結果を出す準備は整っている。

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