[久保MR]ジローナVSレアル・ソシエダ(2022-2023ラ・リーガ第7節)

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ジローナVSレアル・ソシエダの試合結果

3-5 ソシエダ勝利

ジローナVSレアル・ソシエダの主な試合経過

7分 【ソシエダGOAL】シルバからのスルーパスを受けた久保が左サイドからグラウンダーのクロス。クロスに合わせたセルロートが押し込む

22分 【ジローナGOAL】リケルメが見事な右足ミドルシュート

26分 【ジローナGOAL】アルナウがこぼれ球からヘディングで押し込む

41分 【ソシエダGOAL】スビメンディからの浮き球のスルーパスを受けたセルロートがペナルティエリア内でシュート

47分 【ジローナGOAL】カウンターからカステジャーノスが自らゴール前に持ち込みそのままシュート

65分 【ソシエダGOAL】メンデスの右サイドからのシュート性のクロスがそのままゴールを割る

70分 【ソシエダGOAL】ペナルティエリア内でメリーノのコントロールミスからのこぼれ球をスビメンディが押し込む

84分 【ソシエダGOAL】カウンターからセルロートがゴール前まで持ち込み、ペナルティエリア内左寄りにいた久保にラストパス。パスを受けた久保がディフェンダーを前にしながら、左足で鋭いシュートを放ちファーサイドのゴールポストの内側に当て見事なゴールを決める

87分 久保OUT、ナバーロIN

ジローナVSレアル・ソシエダにおける久保のマッチレポート

久保建英が見事なゴールとアシストを記録した。

1ゴール1アシストを記録し、この試合のMOM級の活躍をした。(MOMは同じく1ゴール1アシストのスビメンディ。)

試合はゴールを奪い合う打ち合いの展開になったが、その中で久保は先制点を引き出し、最後までわからない試合展開を決定づけるダメ押しのゴールを決めた。

いずれのプレーもハイクオリティだった。

今シーズン3つ目のアシストとなった1点目のシーンは簡単そうに見えるがそうではない。

ファーサイドに流れるセルロートに見事なタイミングとスピードでパスを通している。複数のディフェンダーとゴールキーパーの間を完全に割り、「押し込んでください」と言わんばかりの完全なお膳立てのパスだった。これまでのシーズンではこれを味方が決めてくれないシーンが印象に強いが、今いるチームはレアル・ソシエダである。きちっと決めてくれる。

そして今シーズン2点目となったダメ押しのゴールでは久保のもともと持っていた強みと成長した姿の両方を最高のかたちで見せてくれた。

もともと持っていた強みとはシュートシーンである。

前にはディフェンダーがいてシュートコースも狭かったが、そのディフェンダーをキーパーのブラインドに利用するようなかたちをとりつつ、素早いキックテンポと強烈なインパクトとコンパクトな振りを見事に両立させた。そしてキーパーにとってノーチャンスのコース、スピード、タイミングのシュートを決めきっている。

決めた後堂々とした姿を見せていたが、これは得意の位置であり決める自信があったことの現れだろう。

筆者は久保のこうした姿をずっと見たかった。

スペインに渡ってからはフィニッシュに絡む機会は限られた。そのため数少ないチャンスシーンではナーバスになっていた。リズムが悪ければ得意の位置でもなかなか決められない。そんなシーンが目立っていた。

それがこれである。久保はこれがもともとできたのである。

開幕戦でのゴール以上に我々日本のファンそして久保自身にとってもすべてのフラストレーションから解放されたゴールと言っていいのではないだろうか。

そして成長した姿とは言うのはスプリントである。

味方陣地から長い距離を物凄いスピードで駆け上がってきた。

この試合は乱打戦となっており、セルロートは2ゴール決め、メンデスも3試合連続ゴールを決め、スビメンディも1ゴール1アシストをマークしていた。

そうした中久保はスコアを伸ばしたいという意欲が旺盛だった。長い距離を走り次は俺が決めると言わんばかりのオーラを放っていた。セルロートに久保にゴールをアシストしてもらっているという意識があったのは確かだろうが、それでもこのオーラがあったからこそ、ハットトリックの機会を捨て久保にパスを出したのではないだろうか。

この久保のオーラは今まで見られなかったものである。

泥臭くというより賢くプレーするタイプの久保は試合の中で一見すると冷めたようなプレーをする瞬間がこれまではあった。勿論自身の体力やフィジカルコンディションと相談してそうした時間帯をつくっていることも理解できるが、見てるほうからするともう少し貪欲な姿勢を見せて欲しいという瞬間があったのも事実だ。

それがこのゴールシーンにはなかった。

FWというポジションで起用されていることの効果もあるのだろうが、マインドセットの面が大きく変わったことをうかがわせる。精神的にも成熟してきた印象だ。

なお、この精神性の成長に加えて重要な要素が体力面の成長である。

これは21歳となりフィジカル能力や心肺機能が10代の頃より単純に向上してきたということもあるとは思うが、それ以上に試合中の体力配分が上手になった印象だ。

この試合でも久保はこれまでと変わらずソシエダの重要な戦術である前線からのチェイシングを積極的に行っていたが、ゴールが生まれた終盤まで久保が体力的にきついときによくやる両手を腰に当てるシーンが一切なかった。

休むときは休み肝心なときにスプリントするという術を身に付けてきたような印象だ。この体力面の成長もこのゴールが生まれた理由の一つのように思う。

とにもかくにも素晴らしい結果を出した久保。

チームメイトとのコンビネーションも素晴らしく、久保は今サッカーを心の底から楽しんでいるのではないだろうか。

覚醒の予感ではない。

遂に覚醒のときがきた。

そう思える試合だった。

次のソシエダの試合、次の久保のプレーを早く見たくて見たくて仕方ない。今心の底からそう思える。

次の試合も楽しみたい。