[久保MR]レアル・マドリードVSレアル・ソシエダ(2022-2023ラ・リーガ第19節)

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レアル・マドリードVSレアル・ソシエダの試合結果

0-0 引き分け

レアル・マドリードVSレアル・ソシエダの主な試合経過

31分 【マドリー】クロースがミドルシュート。キーパーがセーブ

34分 【マドリー】ベンゼマがミドルシュート。キーパーがセーブ

45分 【マドリー】ソシエダのパスミスからヴィニシウスがペナルティエリア内に持ち込みシュート。キーパーがセーブ

48分 【マドリー】ベンゼマとのワンツーで抜け出したヴィニシウスがペナルティエリア内でシュート。キーパーがセーブ

60分 【ソシエダ】マリンからのパスをペナルティエリア内で受けた久保が相手ディフェンダーの股を抜く左足シュートを放つ。キーパーがセーブ

67分 【ソシエダ】ナバーロからのパスを受けた久保がペナルティエリア内中央で反転してディフェンスラインを破る。しかし抜け出す際のボールがやや長くなりキーパーに阻まれる

69分 【ソシエダ】右サイドを突破した久保が左足で鋭いパスをファーサイドのナバーロに送る。ナバーロがシュートを放つもキーパーがセーブ

70分 【マドリー】ヴィニシウスがペナルティエリア内でキーパーと1対1になり、ループ気味のシュートを放つがキーパーがセーブ

レアル・マドリードVSレアル・ソシエダにおける久保のマッチレポート

久保がバルセロナ戦に続いてソシエダのベストプレーヤーとなった。

この日も負傷中のシルバに代わりトップ下で先発し、フル出場を果たした。

ベルナベウのレアル・マドリー相手ということもありまたシルバの不在もあったためソシエダの劣勢となったが、その中で久保はソシエダのフィールドプレーヤーで唯一存在感を発揮し(ゴールキーパーのレミーロはビッグセーブを見せた)、レアル・マドリーの脅威となった。

60分のリュディガーの股を抜くシュート(惜しくもクルトワにセーブされた)がハイライトだが、それ以外にもソシエダのすべてのフィニッシュワークを担当した。

ソシエダは久保だけが攻撃において頼りだった。

主力であるメンデスもセルロートも優れた選手だが、相手が世界トップになると個人としての優位性は失われる。屈強で狡猾そしてテクニカルな選手が集うレアル・マドリーにほとんど何もできなかった。

その中で久保だけがドリブル、パス、シュートで優位性を見せた。

これは久保が持つ才能・スペシャリティが誰に対しても優位性を持つものであること、つまり天賦のものであることの証である。

独特のリズムと間、それをフル活用できるアイデア、判断力、テクニック、空間把握力。

リュディガーもカマヴィンガもクロースもヴィニシウスも久保を完全には止め切れなかった。

こうしたマッチアップで威風堂々とした姿を見せる久保にエキサイトしない日本のサッカーファンはいないだろう。

それほどのプレー内容だった。

また、そうした攻撃のシーン以外でも素晴らしかった点がある。

それはペース配分である。

後半途中からソシエダは中盤ダイヤモンド型の4-4-2から中盤フラット型の4-4-2にシステム変更している。これはレアル・マドリーの両サイドのアタッカー(ヴィニシウス、ロドリゴ)にスペースを与えないためだが、このシステム変更に伴い久保はトップ下から右サイドの中盤に配置されている。

このシステム変更、ポジション変更は、久保にとっては守備に力を割かなければならない時間が増えることを意味する。マジョルカなどで担ってきたタスクと同様だ。

しかし、久保はここでこれまでとは全く違う姿を見せる。

守備のタスクは全うするもののスタミナ消費を最小限に抑え、フィニッシュに絡むための力をきちんと残していた。

メッシのように走らないときは走らずチャンスをかぎ分けたときはきちんと敵陣深くに行けるようになっていた。

さすがに最後は足がつっていたようだが、それでも素晴らしかった。

とはいえスコアレスで終わったことも事実だ。

ソシエダ全体にしてみればシルバら主力を多く怪我で欠く中でのレアル・マドリー相手のアウェーでのドローは御の字だろう。

しかし久保個人はそうではないはずだ。

ここまでのプレー内容を見せることができた以上1点が欲しかったはずだ。

直前のバルセロナ戦しかりこの試合しかり、過去3シーズンはベルナベウあるいはカンプ・ノウでは時折輝きを見せるだけだったが、今やこれらの場所で相手を打ち負かすことのできる力を手にした。それはつまり世界のトップレベルの選手にカテゴライズされたことを意味する。

であればこそ次の目標はこれらの場所でゴールをこじ開けることだろう。

ベルナベウでレアル・マドリーを、カンプ・ノウでバルセロナを打ち負かすことができれば、両クラブでのプレーが現実のものになるだけでなく、世界の覇権争いに加わることを意味する。

大多数が夢や羨望あるいは嫉妬を抱かずにはいられない経歴、プレースタイルを持つ久保に対しては冷静に評価できる日本のサッカーファン、サッカー関係者は恐らく皆無だろう。過大評価、過小評価どちらかに必ず寄ってしまう。

だが現実の久保はそうした視線を超え、今動き出しているように思えてならない。

久保はどこまでいくのか、どこまでもいくのか。

久保の冒険は続く。