ウォーターセブン・エニエスロビー編のあらすじと見どころ（ONE PIECE（ワンピース）ストーリー紹介⑨）

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ウォーターセブン・エニエスロビー編のあらすじ

ルフィたちはゴーイング・メリー号の損傷を修繕し、船大工の仲間を探すため世界一の造船都市であり水上都市であるウォーターセブンに到着する。

空島で手に入れた黄金を換金した後、造船会社のガレーラカンパニーにメリー号の査定を依頼するが、査定の結果修繕不能なほどの損傷と診断されてしまう。

一方、金を盗まれたウソップは盗んだ相手である町のギャング”フランキー一家”のアジトに単身乗り込むもやられてしまう。さらに、町でチョッパーと行動を共にしていたロビンは謎の仮面の男たちと出会い姿を消してしまう。

ルフィはフランキー一家を壊滅させた後メリー号から新たな船に乗り換えることを決める。ウソップにそのことを告げるも、納得できないウソップとの大喧嘩の末、一味脱退を告げたウソップとメリー号をかけて決闘することになる。ルフィは決闘に勝利し、ウソップの一味脱退が決定する。

ロビンも戻らず一味崩壊の危機を感じるルフィたちの耳にガレーラカンパニーの社長にしてウォーターセブンの市長であるアイスバーグの暗殺未遂の報が届く。ロビンの消息を追うためにも真相を突き止めるべくアイスバーグの屋敷に潜入したルフィたちはそこでロビンに会えるも世界政府の諜報機関CP9と対峙することになり、敗れてしまう。

しかし、その後ロビンが自身の連行と一味を救うための取引をCP9としたことを知ったルフィたちは常軌を逸する高潮である”アクア・ラグナ”を越え、世界政府の裁判所であるエニエスロビーに連行されたロビンを追うことを決める。

ロビンを追い、海列車でエニエスロビーを目指すルフィたちは、ロビンが連行された海列車に同じく捕まっていた”そげキング”と名乗るウソップと合流を果たし、ロビン奪還を目指す。

エニエスロビーに乗り込んだルフィたちは遂にCP9と対峙する。そこでロビンの過去を知るもロビンの心を解きほぐすルフィの一言が一味全員の気持ちを再び一つにさせる。

ロビンの故郷を滅ぼし彼女にとってトラウマとなっている海軍の殲滅作戦である”バスターコール”が始まる中、一味と一味と共闘することになったフランキーはCP9を個々に撃破。最強の相手ロブ・ルッチもルフィが倒し、ロビンを取り返す。

しかしバスターコールの戦火が迫り脱出不可能になってしまう。そうした中、ルフィたちの前にウォーターセブンで廃棄されアクア・ラグナに晒されていた無人のメリー号が現れる。ルフィたちはメリー号に乗り込み絶体絶命の状況から無事脱出に成功する。

最後の力を使い一味を救ったメリー号と涙の別れを果たした後、ルフィたちはウォータセブンに戻る。そこでルフィの祖父であるガープやコビーと再会を果たし、ルフィの父ドラゴンのことなどを新たに知る。

そして、フランキーを船大工として仲間に加え、喧嘩別れしていたウソップともケジメをつけ和解する。

フランキーの造った新たな船”サウザンド・サニー号”に乗り、先の海へ進む。

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ウォーターセブン・エニエスロビー編の見どころ

ドラマチックなエピソード

ウォーターセブン・エニエスロビー編は、様々なテーマが絡み合った秀逸極まりないドラマチックなエピソードに仕上がっている。

いわゆるロビン編としてのロビンの過去や思い、新たな仲間フランキー編としてのフランキーの過去や思い、ウソップとの別れと和解、メリー号との別れとサニー号との出会い、は一エピソードごとのテーマでもおかしくないくらい濃密なものである。

これら濃密なテーマを見事に絡めてルフィや仲間たちの心の動きなどがドラマチックに描かれており、作中最高峰のドラマに仕上がっている。

世界の謎や仲間との絆、一味が国などを救う感動はどのエピソードでも変わらず描かれているが、一味内の心の動きやドラマをここまで濃密に描ききったエピソードはこのウォーターセブン・エニエスロビー編が最初で最後かもしれない。

ロビンの過去と世界の謎

ウォーターセブン・エニエスロビー編では、ロビンが学者の聖地オハラただ一人の生き残りであること、オハラはバスターコールで当時青キジを含む現大将たちに滅ぼされたこと、そこでロビンが母を失ったこと、などが語られている。

その中でオハラの学者クローバーは世界の歴史から一切記録が抹消されている800～900年前の”空白の100年”の謎についての仮説の一つとして大国の存在を披露している。

さらに、ロビンをバスターコールから救ったのはハグワール・D・サウロというDの名を持つ巨人であり、ロビンがサウロに「海で必ず本当の仲間に会える」と告げられ、ルフィたちとの現在に至る物語は感動的であると同時に示唆に富む内容となっている。

フランキー初登場

ウォーターセブン・エニエスロビー編では、最初は町のチンピラとしてルフィたちと敵対するが、ストーリーが進むにつれて共闘するようになり、最後は船大工として麦わらの一味に加わっている。

本名カティ・フラム。フランキーは海賊王ロジャーの船を造った魚人の船大工トムの弟子であり（トムはオハラ同様世界政府に殺されている。またアイスバーグはフランキーの兄弟子である。）、海賊王の思いがルフィに紡がれていくことを匂わせる存在の一人でもある。（本人は覚えていないようだが後にロジャーと会っていたことがある描写も出てくる。）

半分サイボーグであり、コーラを飲んで強くなるという多くの男子が子どもの頃一度は夢見た強い仲間像を具現化しているキャラクターでもある。同時にルフィたちが常識にとらわれないオンリーワンの海賊団であることを印象付ける存在でもある。

トムから古代兵器プルトンの設計図を伝承されていたが、それを世界政府に渡す前に燃やしてしまっている。（プルトンに関しては未だ何も明かされいないが、アラバスタでクロコダイルが探していたプルトンは既に完成された実物で、フランキーが燃やした設計図はプルトンを一から造るために必要なものだと思われる。つまり、プルトンは人工物である可能性が高い。）

ウソップとルフィの大喧嘩と和解

ロングリングロングランドで青キジの強さを知り、自身に対する不安を抱いていたウソップの心情がフランキー一家に金を盗まれた情けなさ、ともに海に出たメリー号を自分の不甲斐なさのせいで直せないという自責の念で爆発し、一味脱退及びルフィとの決闘に発展してしまう。

喧嘩になるシーンでは、ウソップだけでなくルフィたちもメリー号とロビンの件、青キジの件などで心に余裕のない状態が描写されており、喧嘩になるときは大体こういうときだという雰囲気と言葉のやりとりが見事に表現されている。

ゾロ、ナミ、サンジ、チョッパーの言動もそれぞれの個性、一味内での日常生活における役割や立ち位置を感じさせるものとなっており、読者がこれまで以上に麦わらの一味に感情移入できるシーンに仕上がっている。

決闘でウソップが敗れたあとのルフィ、ナミ、チョッパー、ウソップ、そしてメリー号の涙は忘れることのできないシーンだ。

ウソップは、エニエスロビーでは文字通り合わせる顔がないということで仮面を被り”そげキング”としてロビンを救う戦いに参加するが、そこでも数々の名シーンを見せてくれる。世界政府の旗を打ち抜く場面、遠距離から鍵をロビンに届ける場面、ルッチと戦うルフィに絶叫する場面、メリー号と別れる場面、は鳥肌と涙なしには見られない。

最後のルフィとの和解、いや仲直りのシーンはウソップの人間臭さと心の強さが直球で表現されており、これを見て何も感じ入らない人はいないはずだ。ウソップは、ウォーターセブン・エニエスロビー編では終始ドラマの中心におり、彼の魅力がこれでもかと伝わってくる。涙が枯れる読者も多いはずだ。

メリー号との別れとサニー号との出会い

ウォーターセブン・エニエスロビー編は、SFアニメで言うところのいわゆるロボット乗り換え（パワーアップ）エピソードでもある。しかしその外形的なテーマにとどまらない乗り換えになっている。

特にメリー号との別れは、感動の嵐である。自分のせいで喧嘩となったルフィとウソップに涙するシーンもそうだが、なんと言っても、フランキーに船体を破壊されアクア・ラグナに晒されてもなお海を進み一味を助けに来るシーンは感動的で大きなカタルシスである。

クラバウターマンという船の妖精の存在により、メリーのファンタジー的なアクションにも一定の説得力を持たせており、違和感はないどころか、物にも魂は宿るという日本人がどこか持つイメージをうまく想起させている。

メリー号との別れは仲間との別れでもあるが、長く使用した愛着のある物との別れという意味でも悲しさや寂しさを読者に思い起こさせる。

サニー号については、この後徐々に機能が披露され、思い出が付与されていくだろうが、ここで披露されている象徴的な機能は何といっても”空を飛ぶ”というものだろう。海中を潜る潜水艇はこの後多々出てくることになるが、空を飛ぶ海賊船はサニー号しか出てきていない。

ルフィたちに相応しく、常識を超えた世界一の船であるということだろう。ちなみに船の材料はロジャーの船と同じ”宝樹アダム”である。名前以外は何も明かされていないがその名称から何か世界の謎に関係するものだと思われる。後に”陽樹イブ”という大樹も登場する。

ウォーターセブン

ウォーターセブン・エニエスロビー編の主な舞台はウォーターセブンという水上都市だが、ここはイタリアのベネチアをイメージした町となっている。

アラバスタもそうだが、後に出てくるドレスローザやワノ国も実在する国や都市を彷彿とさせる。様々な国や歴史・文化の世界観をミックスさせているのもワンピースの魅力の一つだろう。

エニエスロビー

いわゆる裁判所のこと。ウォーターセブン・エニエスロビー編では裁判と称しながら有罪以外の判決はないという飾りだけの司法と説明されている。

つまり、それを落とすことイコール現世界政府が決めたルール（法）には縛られない、打ち破るということになる。

ルフィたちが本格的に世界における注目の的になる象徴的なロケーションでもあるだろう。

ルフィの新技”ギア”

ウォーターセブン・エニエスロビー編では、船の乗り換えつまりロボのスペックアップに合わせルフィのパワーアップも明確に描かれている。

”ギア2”は、ゴムの能力を活用して血流の流れを早くし、身体の代謝とエネルギー、運動能力を極限まで高める技で、”ギア3”は、ゴムの骨に空気を送り込み身体を巨人族並に巨大化させる技である。

ギア2を最初に使用したCP9のブルーノとの戦いは、作中最もルフィのカッコいいバトルシーンとして挙げる人も多いだろう。

CP9と六式

ウォーターセブン・エニエスロビー編でCP（サイファーポール）という世界政府の諜報機関が初登場している。後に0～9までナンバリングが付与される組織があることが判明する（この時点では1～9）。中でも殺しが許されているのはCP9だけであり実体はほぼ暗殺集団のような組織となっている。

そうした組織にあって重要な武器であり技として登場するのが”六式”という体技であり、これ以降作中のバトルにおいて標準装備されることになる。消えて見えるほどに素早い動き、身体が鋼のようになる肉体強化、空を飛ぶことのできる脚力強化、などである。

ガープ初登場＆コビー・ヘルメッポとの再会

ルフィの祖父であり海軍中将のモンキーD・ガープが初登場。通称”ゲンコツのガープ”あるいは”英雄ガープ”。コミックでは扉絵、アニメではゾロ編の後にコビーやヘルメッポを引き取り修行させる描写などがあるため、厳密にはこの時点でも既に周知されている存在だが、本格的に本編に初登場するのはウォーターセブン・エニエスロビー編である。

そのガープからルフィの父モンキー・D・ドラゴンの存在と、そのドラゴンが革命軍のトップでローグタウンでルフィと出会っていたことが明かされる。また、世界政府の打倒を目指している組織を”革命軍”と呼ぶこと、シャンクスを含む4人の大海賊を”四皇”と呼ぶこと、グランドライン後半の海を”新世界”と呼ぶこと、世界最高の科学者の名前は”ベガパンク”であること、など、広大な世界に関するワードも一気に初登場している。

コビーとヘルメッポに関しては大きく成長していることが表現されている。ビジュアルもそうだが六式を使えるようになっているなど、ルフィ・ゾロと同様海軍の中で様々な面で成長していることが明確になっている。

黒ひげVSエース

遂にバナロ島で戦うことになる黒ひげとエース。この戦いで黒ひげの悪魔の実の能力ヤミヤミの能力が初披露される。すべてを飲み込む闇という特性を利用して、ここでは悪魔の実の実体をつかめ、触れてる間は能力を無効化できることが説明されている。

勝負の結果に関する具体的な描写はないが、後にエースが敗北し、海軍に引き渡されたことが明らかになる。