【ネタバレ】シン・エヴァンゲリオン劇場版レビュー(示された解、あらすじ、見どころ)

いわゆる”新劇”と呼ばれる「新世紀エヴァンゲリオン新劇場版」の最終作である「シン・エヴァンゲリオン劇場版」について、あらすじや見どころ、示された解についてレビューしたいと思います。
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シン・エヴァンゲリオン劇場版 EVANGELION: 3.0+1.11 THRICE UPON A TIME[Blu-ray] [通常版] / アニメ
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シン・エヴァンゲリオン劇場版のあらすじ
フォースインパクトを阻止したヴィレは、大破したエヴァ2号機と8号機を修理するため、ニアサードインパクトにより赤く静止したパリを元に戻し、エヴァの修理に必要な部品を回収する。
一方、シンジ、アスカ、綾波タイプの3人は、フォースインパクト阻止の余波によって赤く静止した土地を歩き続けていたが、道中相田ケンスケに発見され、鈴原トウジやトウジと結婚して娘が生まれた洞木ヒカリと再会する。3人とも生き残っていたのだった。
大人になっていたトウジたちやトウジたちの集落で暮らす人々との束の間の生活を送るシンジたち。
綾波タイプはトウジとヒカリの家での人間らしい日常生活を通じ、ヒトについて理解を深め感情が生まれるようになってくる。
シンジはケンスケのもとで自棄により自分の殻に閉じこもり続ける生活を送るが、同じくケンスケのもとで暮らすアスカの叱咤や人間らしくなっていく綾波タイプの感情に触れ、それを脱する。
だが、綾波タイプがプラグスーツのバッテリー切れとともに自分のかたちを維持できなくなる。そしてシンジの目の前でLCLと化す。
シンジとアスカはヴィレに戻り、ゲンドウが起こそうとしているアディショナルインパクトによる人類補完計画を阻止すべくヴィレとともにNERVとの最終決戦に臨む。
13号機との戦いの中でアスカがヒトでなくなり使徒化する。ゲンドウはそのアスカを利用し、13号機に自ら乗り込み、自らをトリガーに人類補完計画を成就しようとするが、エヴァ初号機に乗ったシンジが現れる。
シンジは、ミサトの犠牲を経て、ゲンドウと対峙し人類補完計画を阻止する。
そして、アスカを救出したシンジは一人青い海に帰還し、そこで追ってきたマリと再会を果たす。
最後はスーツを着て大人になったシンジがマリとともに駅の階段を駆け上がるシーンが描かれる。
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シン・エヴァンゲリオン劇場版の見どころ
ヴィレVSネルフのバトルシーン
バトルシーンがすべからくすさまじくハイクオリティである。
特に、ミサトが指揮するヴンダーと冬月の指揮するヴンダー同型艦の戦艦バトル、新2号機&8号機とネルフ側のエヴァシリーズのバトル、13号機と新2号機のバトルは特筆に値する。
Qでは、ヴンダーにナディアのエクセリオンのBGMが使用されたが、その演出の流れの通り、シン・エヴァではエクセリオンVSレッドノアを思い出すようなカッコいい戦艦バトルが進化したかたちで見ることができる。
スパロボ参戦が楽しみだ(笑)。
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トウジ、ケンスケ、ヒカリ再登場
シンジたちの中学時代のクラスメイトである3人が14年後の姿で再登場。トウジは医者となっていて、ヒカリと結婚し娘が生まれている。ケンスケは昔からのサバイバル技術などを活かし何でも屋で生計を立てている。
彼らの生存はシンジの救いにもなっている。
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加持リョウジ初登場
加持リョウジを父に持ち、葛城ミサトを母に持つ14歳の少年が登場している。名前は父と同じ加持リョウジ。父母のことは知らないがそれなりに幸せに生きているようだ。彼と会話できたこともシンジにとっては救いとなっている。
なお、息子の名前を父と全く同じにしていることの意味については、様々な解釈が可能だろう。
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マヤの活躍
伊吹マヤの活躍も従来のファンには嬉しい。「これだから若い男は」が口癖になっているマヤだが、彼女の努力を見た若い男の部下たちが戦いの中でどんどん彼女についていくようになる。
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シンジの立ち直りと成長
Qからの続きでシンジはまたしても自暴自棄になり口もきかなくなるが、アスカ、綾波タイプ、トウジ、ケンスケ、ヒカリにより立ち直っていく。そしてそれらの触れ合いから心の成長を遂げていく。
旧劇場版ではカヲルの死後誰の助けもなく絶望に向かうだけだったこととは全く状況の違うシナリオになっている。
ゲンドウをトリガーとする補完計画を防ぐにはシンジの成長が不可欠だったとはいえ、新劇場版と旧劇場版の最も大きな違いはここに尽きる。
レイが目の前でLCL化したことで再度精神的な落ち込みをぶり返すかと思ったがそうもならなかった。
それでも、アスカの首にあるDSSチョーカーの爆発やミサトに対するヴンダークルーの裏切りのフラグが強く立っていたこと、旧劇場版の流れを踏襲するなら”一歩進んで二歩下がる”になること、が頭の片隅から離れない人は多かったのではないだろうか。(例えば、DSSチョーカーの爆発でシンジの目の前でアスカが死に、ファイナルインパクトを起こすなど。特にアスカのDSSチョーカーは旧劇場版でシンジがアスカの首を絞めたことと符号していたため半ば確信に近いものを感じていた人も多かったのではないだろうか)
だがそれは杞憂に終わる。
エヴァにしては拍子抜けだった感も否めないが、最後まで見れば旧劇場版を経て今回の新劇場版でエヴァを完結させるうえでは”一歩進んで二歩下がる”は必要のないことだったとわかる。
ちなみに、この立ち直りにはかなり多くの時間が使われている。旧劇場版とは違いシンジの近くに旧友であり大人であるトウジたちがいてくれたことも大きいが、人間は平和な日常を生きていれば様々な問題はわりと時間が解決してくれるということを表現しているとも言えるのではないだろうか。
庵野氏も年を取ってマイルドな物の見方をするようになったということかもしれない(笑)。
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シンジとゲンドウの対話
13号機に乗ったゲンドウと初号機に乗ったシンジが戦い、対話するシーンにも時間が割かれている。
エヴァ同士の喧嘩のようなバトルシーンからお馴染みの電車の中での対話シーンに至るまで、ゲンドウの弱さがシンジの前に晒されていく。子どもにとって絶対的な存在である父親に自分と同じ弱さを見た子どもが成長する(大人になる)シーンでもある。
上述の通り周りの人達の思いやりで成長したシンジが父との対話で大人になり、父と母、エヴァの呪縛から脱し、自身により自己の確立を決定づけた瞬間でもあった。旧劇場版ではアスカ(異性)との関係性にフォーカスが移され、テレビ版の最終話から少しずれてしまっていたが、このシーンによりようやくテレビ版の最終話が丁寧に説明されたということだろう。
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シン・エヴァンゲリオン劇場版で示された解
さらば、エヴァンゲリオン
シン・エヴァンゲリオン劇場版のテーマがきちんと明かされた。それは銘打たれていた通り「さらば、エヴァンゲリオン」である。
そのメッセージが伝わってくる描写がいくつもある。
●「エヴァンゲリオンを消滅させる」というセリフで人類補完計画の発動阻止を明確に説明していること
●シンジがアスカに旧劇場版のラストシーンに似た風景の中で「好きだった」とテレビ版から通しても初めて好意を言葉にし、だが過去形で伝えるシーンがあること
●補完計画からシンジが現実世界に戻ってくるシーンでは、シンジが線で描いただけの絵になったり小さい舞台でのシーンが出てきたりとテレビ版のラストを思わせる演出になっていること
●エピローグ的なシーンでシンジが成人した姿となっているが、声優が変わっていること。声変わりのしていない少年声を演じていた女性の緒方恵美から男性の神木隆之介に変わっている。これは14歳という子ども時代を本当に卒業し、シンジが”エヴァンゲリオンの碇シンジ”ではなくなったということを意味するものと思われる
●最後はエヴァンゲリオンの物語の根幹をなしてきた人間関係がほぼリセットされていること。ミサトは死に、ゲンドウも恐らく死に、シンジとアスカ、シンジとレイの関係性は完全に決着がつき離れるかたちになっている。(最後は、レイにはカヲル、アスカにはケンスケ、シンジにはマリが親しい存在としてあてがわれるようなかたちになっている。この組み合わせはテレビ版から新劇場版まで(マリは新劇場版からの登場だが)一貫して関係性が希薄な組み合わせでもあったことから、主要キャラの関係性を消滅させたということと同義ととらえられる。加えてエンタメコンテンツとしてキャラに最低限の救いを用意したということなのかもしれない。)
1995年のテレビ版から始まり、2021年のこのシン・エヴァンゲリオン劇場版まで25年以上もの歳月が過ぎているが、これらのシーンは本当にエヴァが終わったんだとすべての人に感じさせるものとなっている。特に、青春時代にテレビでエヴァを見始め今まで追ってきたファンには寂しく切ない思いを抱かせるものでもあるのではないだろうか。
またうがった見方かもしれないが、庵野氏は新劇場版の制作動機の一つとして「1990年代のエヴァを通じても変わっていないアニメ業界に新たな可能性を見せたい」と語っているが、それからすれば、野心的・挑戦的でない作品の制作に固執しそれを商業的にしゃぶりつくす昨今の業界に対する、「きちんと別れるべきときに別れ、新しいものをクリエイトすることに挑戦し続けてほしい」というメッセージなのかもしれない。
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惣流アスカと式波アスカは別人
Qでは同一人物の可能性も考えられたが、シン・エヴァンゲリオン劇場版では名前が示す通り完全に別人であることが明確になった。
惣流アスカにはシンジと同じような境遇での母親や家族関係の存在があったが、式波アスカは綾波レイと同じくクローニングにより生まれた存在であることが明かされた。(もしかしたらそのオリジナルは惣流アスカという考察は可能かもしれないが・・・)
旧劇場版のラストシーンに似た風景でのシンジとアスカのシーンも出てきたが、旧劇場版のようにアスカの包帯はなくシンジも制服ではなかった。別人であるということが明確になった瞬間だろう。
そして、アスカに限らず他のキャラも旧劇場版との直接的なつながりは最後まで特に示されなかった。(カヲルも新劇場版における存在に関する解釈が示されただけであった)
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人類補完計画における旧劇場版との違い
群体から単体への人工進化という目的は旧劇場版と新劇場版で変更はないが、その手段がいささか違っていた。
旧劇場版では、補完計画のトリガーはシンジと初号機であったが、シン・エヴァンゲリオン劇場版(新劇場版)ではゲンドウと13号機であった。つまり、ゲンドウの自我の消失によることとなっている。
そのため、旧劇場版のようにシンジとアスカではなく、ゲンドウとシンジの対話が補完計画発動へのせめぎ合いになっている。
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シンジとアスカの関係性の決着
シン・エヴァンゲリオン劇場版(新劇場版)では、旧劇場版のようにシンジとアスカの関係性が作品の結末に影響を与えるかたちにはならなかったが、決着はきちんとつけている。
アスカからシンジに「好き」という言葉を伝えるシーン、シンジからアスカに「好き」という言葉を伝えるシーンが出てくる。
だが、2つの言葉とも過去形であった。
ちなみに、シンジからアスカに好意を伝えるシーンは旧劇場版のラストシーンと似た風景の中でであった。わざわざ旧劇場版に似た風景の中で2人の関係に決着をつけさせたのは、旧劇場版までのエヴァンゲリオンにおける主役とヒロインである二人の関係を明確にリセットさせることをメッセージとして伝えたかった意図が込められているものだと思われる。(※逆説的に言えば旧劇場版におけるシンジは惣流アスカが好きであったということが明確になったという受け取り方も可能だろう)
つまり、「さらば、エヴァンゲリオン」ということであろう。
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シンジとゲンドウの関係性の決着
妻であり母であるユイを失い、互いに心を通わせることのできない弱さを持つ親子のシンジとゲンドウの二人だが、今回はシンジではなく、ゲンドウの過去や弱さがシンジの前にさらけ出されている。そして、それに対し成長したシンジが救いの言葉を出すことで二人の関係を決着させている。
テレビ版最終話では、シンジから「父にありがとう、母にさようなら」という言葉が出てくるが、今回のシンジとゲンドウの長い対話はこの言葉の意味を補完するものだろう。
旧劇場版では、”シンジとゲンドウ”から”シンジとアスカ”の描写に針が振れていたため、「父にありがとう」に対する説明は十分ではなかったが、今回はそれに対する十分な説明がなされている。シン・エヴァンゲリオン劇場版(新劇場版)はテレビ版制作時の最初の構想に忠実であったということなのだろう。
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