経営企画という仕事の本当のところ(経験談より)

経営企画という仕事の本当のところ(経験談より)

仕事というのは実際に自身で体験・経験してみないと、それがどんな仕事なのかわからないことが大半です。

就職に関する情報サイト、情報誌、などでは外形的なことはわかりますが、本当のところはわかりません。

面接など経験者との会話によって知る機会があったとしても、たいていは知り合いだったり雇用関係を結ぼうとする人であったりと、自分となんらかの関係性があるため様々な理由で本音のところがわからなかったりします。

でも”本当のところ”を知りたいですよね。

筆者もそうでした。

そこで、ここでは筆者の経験談から、「経営企画」という仕事の内容、必要なスキル、そして向き不向きなどについて、”本当のところ”をお伝えしたいと思います。

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仕事内容

端的に言うと、名前の通り、経営に関する企画をする仕事です。

かみ砕くと、実際に経営を行うのは社長などの経営者ですが、その経営の内容に対して助言をしたり、経営を補佐したりする仕事となります。

外形的には経営コンサルタントと似たような仕事になりますが、本質は全く違います。

コンサルタントが外部関係者として助言や補佐をするのに対し、経営企画職の人間は内部関係者つまりその組織と雇用関係のある当事者として助言や補佐をすることになります。

言い換えれば、その行動の結果に対して直接的な責任を負うことのないコンサルタントに対して経営企画職は自身の所属する組織における結果の責任を必然的に負うことになります。

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具体的な業務内容

会社や組織によって役割分担は違いますが、一言で言うと経営者が日常業務において直接遂行できない経営に関するすべての業務を行うということになります。

例えば、会社の業績は日々経営者が見て、経営判断をしていくわけですが、大きい組織であればあるほどこの業績の集計業務を多忙な経営者が直接できないことは想像できますよね。

そうした経営に関する雑事の一切を行うのが経営企画職の業務ということになります。(政治家が経営者で官僚が経営企画と考えるとイメージつきやすい人も多いかもしれません。)

具体的には、以下のような業務があります。

  • 情報の調査
  • データ収集
  • データや情報の分析・とりまとめ
  • 分析結果の報告
  • 分析結果に基づく提案
  • 提案内容の具体化・実現
  • 経営(者)に関する総務・庶務

これらの業務の及ぶ範囲(領域)は組織によって違いますが、その組織の事業に関するすべてと思っておくと間違いないかと思います。(人事や経理といった組織運営に関する間接的な領域から実際の事業の最前線となる営業といった直接的な領域に至るまで)

例えば、人事部門はどこの組織にもあると思いますが、彼らは経営に必要な提案を行ったりもしますが、あくまで人事部門としての専門性の知見からそうした業務を行います。

経営判断には様々な角度からの判断が必要になります。仮に人事が人員を増やしたいと彼らの立場から提案したとしても、営業部門が実際はそんなに欲しがっていなかったり、人員を増やすだけの利益や資金がなかったりします。経営者はこれらのことを総合的に判断して決断を下しますので、人事からの提案や情報だけでは判断できません。

そこで登場するのが経営企画なのです。経営企画は経営者がこれらを判断するにあたって必要な情報収集・分析を行い、必要に応じ提案を行い、場合によっては経営者の判断に従って実現のために動くことになります。

ちなみにコンサルタントと違うのは実際に実現のために動くという点です。コンサルタントは外部の助言者に過ぎません。実際に動くのはその組織自身ということになります。一方、経営企画職は、繰り返しになりますが、経営者に雇用されその組織に所属している者です。一従業員として、必要に応じ実現する行動をとることになります。

次に、これらの業務の詳細を説明したいと思います。

情報の調査

インターネットや文献、新聞、国・行政などの出している情報といった幅広い外部のものから、社内関係者のインタビューやヒアリング、アンケートによるピンポイントなものに至るまで様々な情報を調査することを指します。

この業務は簡単なように見えてそうではありません。

必要な情報はどういったものか、この世にどんな情報があるか、入手手段はどういったものがあるか、なければどのように入手しなければならないか、などすべて仮説を立てながら進めていくことになるからです。

さらに、経営に資する情報になるかどうかという具体的な視点が重要になります。例えば社内関係者のインタビューなどの場合誰に聞くのが適切か、など、です。会社の事業や社内事情に明るいほうが良い仕事ができると考えるのが一般的です。

データ収集

この世にあるビッグデータや官公庁や文献に基づく調査データなど大きな視点のものから、社内の各種数値データ(業績など)といった内部のピンポイントのデータに至るまで様々なデータを収集することを指します。

情報の調査同様の業務の進め方となります。

データや情報の分析・とりまとめ

収集後、とりまとめとその内容の分析を行うことを指します。集めたデータや情報の合計値の割り出しや複合視点で見るための掛け算、属性別にどうなっているのか、時系列で見ればどうなっているのか、など様々な角度での分析を行います。

情報調査やデータの収集は、この業務をどのように進めるのかまである程度仮説立てしたうえで進めなければなりません。そしてそれが経営判断の材料として適切であることが求められます。

分析結果の報告

経営者は、自分で素のデータを一つ一つ確認する時間がないのが一般的です。そこでこの結果報告が重要なアウトプット(成果物)になることが多いです。

わかりやすくロジカルに報告資料をまとめ、それを経営者にさらにわかりやすくロジカルに口頭で報告・説明することが必要になります。

分析結果に基づく提案

経営者の分析結果に対する認識を確認したうえで、必要に応じ提案を行います。

「○○したほうがいい」「××はやめたほうがいい」など、実際のアクションを促す仕事になります。

内容に応じ、報告にとどまる場合と、提案まで踏み込む場合があります。経営者がその内容に明るかったり自身の判断を重要視している内容である場合は報告でとどまるケースが多いですが、少し細部の話となりある程度具体的な提案がなければ判断材料とならない場合は提案まで求められるケースが多いです。

提案内容の具体化・実現

報告内容や提案内容に対して経営者が「〇〇しよう」となった場合は、経営者の判断に基づき細部を詰める仕事を行うことになります。

例えば、「○○という部署をつくろう」となれば、人事異動や組織の立ちあげに関する煩雑な社内の調整や手続きが必要になります。経営者が直接担当の責任者に指示することはあっても一つ一つの調整を行うことはしない(できない)のが一般的です。

そこで経営企画が登場することになります。複数の部署や関係者間の相談の場を設けたり、そこでの調整が経営者の本質的な意図にきちんとかなうようになるよう動くことになります。

また、組織立ち上げの例でいけば、場合によっては経営者の意図が正しく反映できるよう経営企画の担当者自身がその組織に入ったりすることも往々にしてあります。

経営に関する総務・庶務

決算発表や株主総会対応、取締役会などの経営者の会議体の運営、経営者の関わる社内イベントの運営、経営者の業務補助といったものから、経営者のスケジュール調整といった庶務に至るまで幅広い業務を行うことが往々にしてあります。

それぞれ、広報部門や経理部門、総務部門、秘書部門などがある場合はそこが主に担当するケースも多いですが、総じて経営企画部門はそのすべてに関わり調整を補助することも多いと思っておいたほうが無難でしょう。

なぜなら経営者の業務範囲を従業員としてすべてカバーできるのは経営企画部門しかないのが一般的だからです。

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必要な素養

これは、ほぼコンサルタントと同じと言えますが、大きく違うのは組織内(社内)での信頼やポジションを確立していることが必要な点です。

経営企画はある意味で経営者と従業員間の利害を調整する立場になります。双方に対する説得力や双方からの信頼度が一定以上ないとなかなかうまく仕事を進められません。これは理屈上の意味だけではなく、双方から、「俺(たち)のこと、言いたいことをきちんとわかってくれてる上で組織にとって良いように働きかけてくれている」と感じれくれていることが必要になるということです。

では、一つ一つ見ていきましょう。

ロジカルシンキング

ある意味これは最低限にして最大限必要な素養になります。業務内容からもわかる通り、すべての場面で論理的に思考する能力が必要になります。論理性がなければ価値観や立場の違う複数の他人同士に、共通の客観的な基準に基づく正確な情報や意見を伝えられないからです。

物事をロジカルに考えることが苦にならない、あるいは好きなくらいでないと経営企画職には向いていないということになります。

プレゼンテーション能力

ロジカルシンキングの結果をわかりやすく言葉で発信する能力も必要になります。業務内容の多くは、会話により進んでいくことになります。わかりやすく伝えることのできる能力は、経営企画の仕事にとっては必須と言えます。

コミュニケーション能力

プレゼンテーション能力を基礎にしたコミュニケーション能力も重要です。経営企画は基本人と人とのやりとりに基づき進んでいく仕事です。

人間力や個性を売りにするところまでは必要ないかもしれませんが、嫌みなく多くの社内関係者と接することができる能力は重要です。

これは、経営企画職に限った話ではなく本当に一人で完結する仕事でない限りはどの仕事でも必要になることですが、経営企画職には特に必要な素養といって差し支えないかもしれません。

想像力

詳しくない分野での業務には特に必要になりますが、それ以外にも共通して必要になる素養です。特に経営者と従業員双方の立場を想像できることは重要です。

当たり前ですが、人間は他人のことはわかりません。本当は何に困っているのか、何を知りたいのか、などは聞かなければわかりません。

この聞くという行動を起こすために想像力を働かせることが必要になります。「本当はこう思っているのでは?」「彼の立場だったらこうしたいと思うはず」などを想像することは業務を進めるうえで必要になります。

察し力、空気を読む力

経営企画職はコンサルタントのように外部関係者ではありませんので、業務において言いづらいことなども多いと思います。

その場合は想像力を駆使して相手のことを考え、調整をうまく進めるために、人や会議の雰囲気に応じて、押してみたり、引いてみたりをすることもときに必要になります。

実に日本的な素養ではありますが、察することで「こいつ、色々わかってるな」と思わせることにもつながり、信頼も高まることで物事が上手く運べるようになるのも多くなることも事実です。

察することに成功し、それに対し快感を覚える人のほうが経営企画職に向いているかもしれません。

知識欲

常に勉強して、知らないことを知り、吸収したいと考える人のほうが向いていることは確かです。

100%と言っていいほど業務内では自分の知らないこと、得意分野ではないことがにぶつかります。それに対して自然に勉強する意欲が発生するくらいでないと、なかなか辛い仕事になってしまう可能性が高いです。

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必要な知識・教養

コンサルタントと基本的な部分は同じですが、大きく違うのは組織内(社内)知識です。

一般的なビジネスマンとしての知識(網羅的に)

法律、経済、行政、経営、などいわゆるビジネスマンが一般的に持っている知識は一通り必要になります。

この一通りというのがポイントで、それぞれの分野で深い知識が必要ということではありませんが、網羅的に浅く知っていることが必要になるということです。それがあれば業務の中で必要に応じ勉強していくことが可能だからです。

全く欠落している知識分野がある場合、勉強しなければいけないというきっかけも見つかりづらくなり、業務に支障をきたすことになります。

組織内(社内)知識

コンサルタントには必要ありませんが、経営企画職には必要となります。組織にとってコンサルタントよりも費用面を除き経営企画職にメリットがあるのはまさにこの点なのです。

組織の事業内容やビジネスモデルを理解していることもそうですし、どういう文化が培われてきた組織であるかやどういう社内人脈が構築されているか、どういう人たちが日々どういう業務を行っているか、などの知識を指します。

コンサルタントや外部からのピンポイント採用の場合は、これらの知識よりも客観的な知識や外部経験によるノウハウにメリットを感じていることになりますが、社内人材を活用している場合はこれらの知識を持っていることが前提となっている場合も多いと思います。多くの場合、これらの知識があったほうが有益な仕事ができるからです。

必要なスキル

文書作成スキル

文章を書く機会が圧倒的に多い仕事です。論理性を前提にわかりやすい文書を作成する力が必要になります。

報告書などもそうですが、稟議書などの社内手続き文書、場合によっては社長のメッセージ文書の代筆など意図を正しく反映した各種文書の作成は必須スキルとなります。

経営企画における仕事のクオリティを試されるわかりやすい評価指標といっていいかもしれません。

資料作成スキル

ワード、エクセル、パワーポイントといった基本的なツールは実装されている基本機能を一通り使える必要があります。エクセルはVBAまでは必要ないかもしれませんが、基本実装されている計算式をすべて使えることは必要なスキルになると考えておいたほうがいいでしょう。

経営企画における日常業務のほとんどが資料作成と打合せです。立場が上がるほど打合せの比率のほうが高くなりますが、担当者レベルのときはほとんどが資料作成です。

見栄えなども含めこのスキルも経営企画における仕事のクオリティを試される評価指標と言ってもいいかもしれません。

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最後に

経営企画職という仕事が、なんとなく大変だけどかっこいい、偉い、というイメージを持っている人は多いかもしれませんが、実際は総務・庶務業務に近いこともありますし、日々の資料作成は基本的に地道な作業です。

また、縁の下の力持ちですので、営業マンのように会社の売り上げに直接的に貢献することもありません。

加えて、多くの人から様々な意見を言われそれを調整するという、人によっては生産性を感じない仕事でもあります。

こうしたことにやりがいを感じることのできる人が向いている仕事として捉えておくのが自然でしょう。