コンサルタントという仕事の本当のところ(経験談より)
仕事というのは実際に自身で体験・経験してみないと、それがどんな仕事なのかわからないことが大半です。
就職に関する情報サイト、情報誌、などでは外形的なことはわかりますが、本当のところはわかりません。
面接など経験者との会話によって知る機会があったとしても、たいていは知り合いだったり雇用関係を結ぼうとする人であったりと、自分となんらかの関係性があるため様々な理由で本音のところがわからなかったりします。
でも”本当のところ”を知りたいですよね。
筆者もそうでした。
そこで、ここでは筆者の経験談から「コンサルタント」という仕事の内容、必要なスキルなどについて、”本当のところ”をお伝えしたいと思います。
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コンサルタントの仕事内容
コンサルタントは、一言で表現すると、一般的には「ある事柄について助言・指導を行う専門家。相談役」とされています。
つまり、自分で何かを成し遂げるのではなく、自分以外の誰かや何かが行っていることがより上手く進むように自分以外のものに助言・指導をする仕事ということです。
例えば、経営者や会社経営に関するコンサルタントは、経営者に対して助言・指導を行いますが、経営自体の主体はその経営者自身になるので、コンサルタント自身が何かを主体的に行うということはありません。
当たり前と言えば当たり前ですね。
では、なぜコンサルタントという職業が成立しているのでしょうか。
それは、経営者の例でいけば、その経営者が手の及ばない範囲の情報やデータ、自身で考えつかないような視点からの意見をお金を払ってでも得たいという需要があるからなのです。
そうした需要を満たす仕事がコンサルタントなのです。
”怪しい”仕事と揶揄されることのある理由はこうした点にもあります。コンサルタント自身が責任をとることはありませんから、仮にどんなでたらめな助言でもそれに従って行動したのは経営者などの主体者であり、その行動結果の責任が跳ね返ってくるのは経営者自身になります。
もちろん、コンサルティングの契約上でコンサルタントに責任が発生することはありますが、あくまでその契約における責任です。根源的に行動結果に対する責任をとることはありません。
激務のイメージを持っている人も多いと思いますが、そうした意味では気楽な仕事と言い換えることもできます。
このような性質を持っている職業がコンサルタントなのです。
コンサルタントの具体的な業務内容
頭を使って、なんか小難しいことをかっこよく話す仕事というイメージがある人も多いかもしれませんが、実際はどのようなことを業務として行っている人たちなのでしょうか。
もちろん、コンサルティングの分野や内容によって、細かい部分は異なりますが、だいたい以下のような業務を行っていると思ってもらって間違いないかと思います。
- 情報の調査
- データ収集
- データや情報のとりまとめ・分析
- 分析結果の報告
- 分析結果に基づくアドバイス
- アドバイスの具体化支援
契約内容により、これらのどれかだけであったり、全部であったりします。
さらにかみ砕いていくと、以下のような業務内容となります。
情報の調査
情報の調査とは、インターネットや文献、新聞、国・行政などの出している情報といった幅広いものから、インタビューやヒアリング、アンケートによるピンポイントなものに至るまで様々な情報を調査することを指します。
この業務は簡単なように見えてそうではありません。
必要な情報はどういったものか、この世にどんな情報があるのか、入手手段はどういったものがあるのか、なければどのように入手しなければならないか、などすべて仮説を立てながら検討し、費用や時間を計算しながら、クライアント(コンサルタントへの依頼者)に立案して了承を得ていくというプロセスが必要になります。
データ収集
データ収集とは、この世にあるビッグデータや官公庁や文献に基づく調査データなど大きな視点のものから、クライアント内にある各種数値データ(業績など)といった内部のピンポイントのデータに至るまで様々なデータを収集することを指します。
情報の調査同様の業務の進め方となります。
データや情報のとりまとめ・分析
データや情報のとりまとめ・分析とは、情報等を収集後ただ収集したままの状態で終わらせるのではなく、そのとりまとめと内容の分析を行うことを指します。
集めたデータや情報の合計値の割り出しや複合視点で見るための掛け算、属性別にどうなっているのか、時系列で見ればどうなっているのか、など様々な角度での分析を行います。
情報やデータの収集は、この業務をどのように進めるのかまである程度仮説立てしたうえで進めなければなりません。
分析結果の報告
クライアントがコンサルタントにお金を払うときは、自分で素のデータを一つ一つ集め、見る時間がないという需要に基づくことが大半です。そこでこの結果報告が重要なアウトプット(成果物)になることが大半です。
わかりやすくロジカルに報告資料をまとめ、それをクライアントにさらにわかりやすくロジカルに口頭で報告・説明するのが一般的です。
分析結果に基づくアドバイス
クライアントの分析結果に対する認識を確認したうえで、アドバイスを行います。
「○○したほうがいい」「××はやめたほうがいい」など、実際のアクションを促す仕事になります。コンサルティングをチームで行っている場合は、そのチーム内で予め協議した内容を伝えることになりますが、単独仕事の場合はその場のクライアントとのやり取りの中でアドリブで助言することも往々にしてあります。
なお、口頭のみの場合と事前にクライアントへの提案資料を用意して対応する場合とがあります。
アドバイスの具体化支援
アドバイスの具体化支援とは、分析結果やアドバイスを踏まえたクライアントの判断内容に従い、それを具体化していく業務を指します。
具体化プランの資料での立案・説明・提案を行ったうえで、それに従い、実際に必要な人員を選定・派遣したり、機械設備を選定・紹介したり、それらのリソースを利活用する方法を提案したり、といったことです。
どちらかというと実際に必要なものを売る仕事にシフトしていくことになります。大手コンサル会社が大型ITインフラの整備などまで行っているというのはこの業務まで行っていることを意味します。
コンサルタントに必要な素養
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングができることは最低限にして最大限必要な素養になります。
業務内容からもわかる通り、すべての場面で論理的に思考する能力が必要になります。論理性がなければ見知らぬ他人(複数の場合は特に)に、共通の客観的な基準に基づく正確な情報や意見を伝えられないからです。
物事をロジカルに考えることが苦にならない、あるいは好きなくらいでないとコンサルタントには向いていないということになります。
プレゼンテーション能力
ロジカルシンキングの結果をわかりやすく言葉で発信する能力も必要になります。
コンサルは多くの場合会話により進んでいくことになります。わかりやすく伝えることは、わかりやすいやりとりを必要とするコンサルタントにとってはその最初の一歩として必須と言えます。
コミュニケーション能力
プレゼンテーション能力を基礎にしたコミュニケーション能力も重要です。
コンサルは基本人と人とのやりとりに基づき進んでいく仕事です。人間力を売りにしたコンサルタントも多数いますが、これはそういうことなのです。クライアントとの関係性が良好であれば仕事もスムーズになります。
これは、コンサルタントに限った話ではなく本当に一人で完結する仕事でない限りはどの仕事でも必要になることですが、コンサルタントには特に必要な素養といって差し支えないかもしれません。
想像力
想像力は、詳しくない分野での業務には特に必要になりますが、それ以外にも共通して必要になる素養です。
特にクライアントの立場を想像できることは重要です。
当たり前ですが、人間は他人のことはわかりません。本当は何に困っているのか、何を知りたいのか、などは聞かなければわかりません。聞けばいいということなのですが、この聞くという行動を起こすために想像力を働かせることが必要になります。「本当はこう思っているのでは?」「彼の立場だったらこうしたいと思うはず」などを想像することは業務を進めるうえで必要になります。
知識欲
常に勉強して、知らないことを知り、吸収したいと考える人のほうがコンサルタントに向いていることは確かです。
100%と言っていいほど業務内では自分の知らないことが発生します。それに対して自然に勉強する意欲が発生するくらいでないと、なかなか辛い仕事になってしまう可能性が高いです。
コンサルタントに必要な知識・教養
一般的なビジネスマンとしての知識(網羅的に)
法律、経済、行政、経営、などいわゆるビジネスマンが一般的に持っている知識は一通り必要になります。
この一通りというのがポイントで、それぞれの分野で深い知識が必要ということではありませんが(○○系コンサルなどその分野に特化している場合は別ですが)、網羅的に浅く知っていることが必要になるということです。それがあれば業務の中で必要に応じ勉強していくことが可能だからです。
全く欠落している知識分野がある場合、勉強しなければいけないというきっかけも見つかりづらくなり、業務に支障をきたすことになります。よくコンサルタントは「勉強する」「勉強させてもらう」という言葉を口にしますが、これは主にこうした点を指すことが多いです。
コンサルタントに必要なスキル
文書作成スキル
文章を書く機会が圧倒的に多い仕事です。論理性を前提にわかりやすい文書を作成する力が必要になります。
クライアントがコンサルタントに対価を払うための成果物はほぼすべて文書によるものとなります。
なお、資料でなくてもメールの文面で済ます業務も昨今は増えてきていますので、ときにメールの文面も成果物になります。
資料作成スキル
ワード、エクセル、パワーポイントといった基本的なツールは実装されている基本機能を一通り使える必要があります。エクセルはVBAまでは必要ないかもしれませんが、基本実装されている計算式をすべて使えることは必要なスキルになると考えておいたほうがいいでしょう。
資料が成果物になることから、この資料のクオリティも重要です。資料がきれいなだけで中身がないのは問題外ですが、資料がわかりづらく汚いのも問題です。資料の出来は、そのコンサルタントやコンサルティング業務の価値自体を左右することにもなります。
作家にとっての本とまではいかないかもしれませんが、資料はコンサルタントという仕事において対価の対象になる重要な成果物となりますので、その意識は必要です。
最後に
○○系コンサル、○○系コンサルファーム、など業界内の用語は数多くありますが、これは便宜的に使用されている用語に過ぎないと考えておいたほうが無難だと思います。もちろん業務範囲の一つの指標にはなりますが、実際のコンサルティング業務は、その内容が多岐かつ微細に亘ります。”特化”と銘打っていても実際の業務はそれにとどまらないことが往々にしてあります。
また、コンサル業界内の職種や役職の呼び方は会社等によって様々です。その業務範囲や責任・役割も世界共通・全国共通のものがあるわけでないので、あまり気にすることはないでしょう。
これからコンサルタントを目指したいと思っている人はこうした用語や種別に踊らされないようにし、クライアントのために本質を追求してもらえればと思います。
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