劇場版アイドルマスター輝きの向こう側への全てをレビューする(アイマス歴史紹介⑭)

劇場版アイドルマスター輝きの向こう側への全てをレビューする(アイマス歴史紹介⑭)

現時点で、全アイマスシリーズにおける最初で最後の劇場版である「劇場版アイドルマスター 輝きの向こう側へ」。

アイマスのファンであるプロデューサーにとっても、それ以外のアニメファンにとっても今なお名作と名高い本作について、未見の方にはわかりやすく、既にご覧になっている方には感動を思い出してもらえるよう、あらすじや見どころ、魅力などを紹介したいと思います。

ぜひ、ご覧ください!

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概要

2014年1月25日に全国39館の映画館で公開された。

2011年に放送されたテレビアニメアイドルマスターの直接の続編でテレビアニメと同じスタッフにより制作された。

765プロダクションに所属する13人のアイドルたちの物語でありつつも、新たにアイドル見習いとして登場するキャラを加え、劇場の大きなスクリーンで困難を乗り越え、歌って踊る彼女たちを堪能できるハイクオリティの作品に仕上がっている。

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あらすじ

ニューイヤーライブ(※テレビアニメ最終回のライブ)を終え、765プロのアイドルたちはさらに活躍していた。

そして、アイドルとして脂ののってきた彼女たちにとうとう大型ライブ(アリーナライブ)の機会が訪れる。

これまでにない大型ライブの開催に向け、合宿に入る彼女たち。リーダーとなった春香を中心に夏の暑い中レッスンに励む。

そんな彼女たちに今回初めてバックダンサーがつくことになる。ダンサーにはスクールに通うアイドル候補生である7人の少女が選ばれ、合宿でともに時間を過ごすことになる。

皆が集まることのできた合宿では、765プロの絆や団結が一層深まり、充実した時間となる。ダンサーたちも苦労しながらも765の先輩アイドルたちと一緒に充実した時間を過ごす。

そうした中、合宿最終日を迎える。そこでプロデューサーがこのライブを最後にハリウッドに研修に行くことを皆に告げる。春香たちは一様にショックを受けるが、プロデューサーを気持ちよく送り出すためにもこのライブを成功させようと誓い合う。

合宿を終え仕事の日々に戻りながらもライブに向け準備を進める春香たちであったが、ダンサーたちのレッスンがうまくいっていないことを知る。どうやらダンサーの一人である可奈がレッスンに来なくなったりと問題が起きているようであった。

プロデューサーはダンサー全員をライブまで765プロで預かり、春香たちにフォローしてもらうことを決める。

そして、リーダーである春香はうまくいかないダンサーたちのフォローに奔走する。だが、ダンサーそれぞれの考え方の違いや焦りによりうまくまとめることができない。

しかし、春香はレッスンを欠席する可奈の本心を聞くことができた後、自分の思いを率直に皆に伝える。「誰も置いていかない。今の自分があるのはこれまでのすべてがあるから。」と。

再び春香の言葉で一つになった765プロとダンサーたちは、最高のパフォーマンスでアリーナライブを成功させ、プロデューサーを気持ちよくハリウッドに送り出す。

最後は研修を終えたプロデューサーが無事帰国を果たし、再び765プロの新たな日々が始まるのだった。

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見どころ

オープニングの劇中劇「眠り姫」

いきなり劇中劇の予告編からスタート。初見時は度肝を抜かれた人も多かったのではないだろうか。

テレビアニメでは「無尽合体キサラギ」が劇中劇として披露されたが、今回はSFではなく、魔法少女ものである。

新曲「Fate of the World」をBGMに、圧巻の出来となっている。

内容は、普通の女の子であるヒロイン千早が”アイドル”と呼ばれる魔法少女である春香とその敵である美希と出会い、”アイドル”として”デビュー”なる覚醒を果たすという物語のようだ。

765プロがオールキャストで登場し本当に面白いシーンになっている。必見中の必見である。

なお、この劇中劇は、テレビアニメで一度終了した765総出演の番組である「生っすか!サンデー」の復活版の中で公開されたものとなっており、視聴者にとってはこの劇場版がテレビアニメの続編であることを一瞬で理解できるシーンになっている。

アイドル達の活躍

続いて、お馴染みの「THE IDOLM@STER」をBGMに、各アイドルの日々活躍している姿がキャラ名の紹介とともに描き出されていく。

美希のハリウッド映画出演決定、千早のニューヨークレコーディング決定、竜宮小町のプロ野球の始球式、やよいと真美のCDジャケット撮影(映画の前に発売されたCDジャケットの撮影風景となっている)、雪歩と貴音の舞台出演インタビュー、響の大盛況の動物番組イベント、真のアクション映画撮影、そして春香のアイドルアワード受賞式、である。

最後は事務所に勢ぞろいした全員がプロデューサーを「おかえりなさい!プロデューサー!」と迎えるシーンで締めくくられている。

この「おかえりなさい」は我々視聴者である”プロデューサー”に向けられている言葉でもあるはずだ。

アリーナライブの開催決定とリーダー春香誕生

プロデューサーから765プロ総出演による単独大型ライブとなるアリーナライブの決定が告げられる。

そして、初めてリーダーを立てることになり、プロデューサーの推薦で春香がリーダーとなることが決定する。

春香はアイマスというコンテンツにおけるセンターでありリーダーであるが、それがアニメ内でも明確にされた瞬間となった。

他の765のメンバーも春香がリーダーになったことを好ましく思っている表情が丁寧に描写されており、感慨深いシーンとなっている。

春香は、ボーカル・ダンス・ビジュアルといったアイドルとしての能力という点では美希や千早、他のアイドルたちに及ばない部分もあるが、他のアイドルにはない皆から親愛を向けられる不思議な魅力がある。アイドルにとっては最も大事な才能だろう。

また、アリーナライブは、テレビアニメ完結後2012年6月に開催されたリアルイベントである7thライブ(横浜アリーナでの765全員揃ったライブ)をそのままイメージさせるものとなっており、アニメ・ゲーム・リアルイベントが連動しているアイマスらしい要素と言える。

全員揃っての夏合宿

夏休みの間、東京を離れ、海の見える小高い丘の上にある民宿を貸し切り合宿することになったアイドルたち。

テレビアニメを経てのこの一連のシーンは非常に感動させられる。

全員が揃ったという事実。年頃の女の子たちが皆で一生懸命汗をかきながらもレッスンを頑張る姿。そして皆で海で泳いだり、山を駆け上ったり、川で遊んだり、水鉄砲でかけあいっこしたり、一緒に民宿の大浴場に入ったり、美味しいご飯を食べたり、宿題したり、トランプしたりする姿。

どれも青春時代のかけがえのない時間だ。それを愛すべき765のアイドルたちが皆で仲良く謳歌している。

これで感動しないわけがない。

特に新曲「ラムネ色青春」をBGMにして描き出される一連のシーンは、この楽しい時間が永遠に続いてほしいという楽しい中にもセンチメンタルな感情が一気に押し寄せ、涙腺が刺激される。

なお、この民宿は、後にシンデレラガールズやSideMのアニメでも登場し、すべてのブランドが同じ世界に生きていることを証明してくれるアイマスにとって重要なロケーションにもなっている。

ミリオンライブ!のアイドルが登場

ミリオンライブ!を熱心に楽しんでいるプロデューサーにはこのシーンが一番感動したかもしれない。そうでないプロデューサーもテンションが上がったはずだ。

登場したのは、矢吹可奈、北沢志保、箱崎星梨花、七尾百合子、望月杏奈、横山奈緒、佐竹美奈子の7人。劇場版の中ではスクールに通うアイドル候補生という位置づけだ。

ミリオンは本記事を書いている時点ではまだアニメ化されておらず、ミリオンのキャラはほとんどアニメーションで動いた姿を見ることができていない。

そのミリオンのアイドルたちの中で一足お先に動いたのがこの7人である。可愛い声で可愛らしく動くその姿は言葉が出なくなるほど最高だ。そしてなんといってもアニメ化の最も素晴らしい点は、彼女たちが笑い、悩み、苦しむという日常の等身大の姿が描かれることだ。そこに彼女たちが間違いなく生きていることを感じさせてくれる。

また、この7人は、ミリオン内でのメインメンバーではあるが、センターメンバーではない。センターメンバーを出演させるとそっちが問題を解決する主役になってしまうことからこうした構成になったものと思われるが、人選が抜群である。

ゲーム内ではボーカル・ダンス・ビジュアルのどこかにまだまだ未熟さや初々しさを持っているメンバーたちでありながら、同時にアイドルとしての王道的な可愛さを持っているメンバーたちだからだ。

終始魅力的だが、中でも合宿で765のアイドルたちと一緒に夕食を食べているシーンは必見。各アイドルの個性が良い意味で自然に出ている。ずばっと切り込める奈緒、素直な感情を表現する星梨花、前向きな美奈子、クールな志保、ダウナーな杏奈、明るく一生懸命な可奈、真面目な百合子。すべてが素晴らしすぎる。

プロデューサーのハリウッド行きに動揺するアイドル達

合宿の最終日でプロデューサーが研修としてアリーナライブ後ハリウッドに旅立つことを皆に伝える。

今やすっかりプロデューサーはアイドルたちにとって大切な存在になっていたのだろう。響、伊織、亜美、真美、やよいは泣いてしまい、春香や美希は一歩も動けず言葉も発せない。

このアイドル全員が一様に動揺するシーンは、テレビアニメを経てのプロデューサーの成長とアイドル達との絆も感じることができる。

先輩としての765のアイドルたちの成長

劇場版では、後輩ができたことによる765アイドルたちの先輩としての成長が描かれている。物語の主軸は春香が担っているが、春香以外のアイドル全員に先輩としての成長という意味での見せ場がきちんとある。

特にそれは後輩との触れ合いの中で表現されている。

誰にでも毅然と考えを伝えられながらも思いやりを前面に出せるようになった伊織、自身の経験から後輩を優しく導けるようになった雪歩、年長者として周囲の雰囲気をうまく作ることができるようになったあずさ、気持ちを素直に嫌味なく表現できるようになった響、ブレないところは変わらないものの色々な考えに思いを至らすことのできるようになった美希、他者の気持ちを思いやり寄り添えるようになった千早、自分のできることを考えられるようになった亜美と真美、しっかりとした芯を持ち続けられるようになった真とやよい、周囲をよく見渡せるようになった貴音。

合宿時の触れ合い、ダンサーたちの問題を解決する場面でこれらを見ることができる。各アイドルの担当プロデューサーにとってはかなり感慨深いはずだ。

ちなみに、律子はテレビアニメからの流れ通りプロデューサーに専念するという役どころであったためアイドルたちとは違う立ち位置になっているが、彼女の成長もきちんと描かれている。

プロデューサーを励ますシーンでは、これまでのようにただ叱咤するような言葉を伝えるだけでなく感謝の言葉を添えて伝えている。大人になったと感じる場面だ。

天海春香という存在

この劇場版で春香は全アイマスシリーズのセンターとしての地位を不動のものにする。いや、アイマスの象徴となったと言ったほうが相応しいかもしれない。

ダンサーの問題を解決し、アリーナライブに向け全員の心を一つにしたセリフは以下の通り。

「私ね、いつも一番後ろのお客さんまで声届けようって思ってるの。ソロでも全員のライブでも全部。それで、その度にね、ステージって広いなぁーって思うんだ。でも、同時に私一人じゃない、って思うの。・・・・・・・・・。えっと・・・上手く言えないんだけど・・・。あのね、私の今いる場所は、今までの全部で出来てるんだってことなの。伊織、真、雪歩、やよい、響ちゃん、貴音さん、あずささん、亜美、真美、美希、千早ちゃん、律子さん、プロデューサーさん、小鳥さん、高木社長。他にもたくさんの人と出会って、私はアイドルとして今ここに立ててるんだと思う。誰か一人でも欠けてしまったら、たどり着けなかったな、って・・・。出会えて、今一緒にいる、って事は、私にとってそれくらい大事なことなの。奈緒ちゃん、美奈子ちゃん、星梨香ちゃん、杏奈ちゃん、百合子ちゃん、志保ちゃん。ね?可奈ちゃんも同じだよ!私たちは、今ここにいて、それぞれ目標も考え方も違ってて、それでもこのライブのためにみんな集まったの。それが、「今」なんだよ。誰か一人でも欠けちゃったら、次のステージへは行けない。もしかしたら、もっといい方法があるのかもだけど。でも・・・、「私」は天海春香だから。私は今、このメンバーのリーダーだけど、その前にやっぱり「私」だから、全員で走り抜きたい!「今」の全部でこのライブを成功させたいの!」

アイマスのすべてがこの言葉に詰まっていると言っても過言ではないだろう。

これを天海春香が、中村繪里子が、魂を乗せ世界に発信したことにコンテンツとしての大きな意味があるのではないだろうか。

M@STERPIECE

すべての困難を乗り越え、全員で迎えたアリーナライブ。

そこで披露された新曲はアイマス史に燦然と輝く伝説の名曲となった「M@STERPIECE」。

歌詞もメロディもアイドルが歌って踊るアニメーションもこれ以上ないほど文字通りの傑作となっている。

歌詞については、後に星野源さんも語っているが、特に素晴らしいのがサビの部分。

「夢をはじめて願って 今日までどの位経っただろう ずっと一日ずつ繋げよう 夢は自分を叶える為に 生まれた証だから きっとこの心で 私のM@STERPIECE」

「明日がどんな日になるか 誰だって解らないけれど それはどんな日にも出来る事 明日は追いかけてくモノじゃなく 今へと変えてくモノ それが自分になる 私がM@STERPIECE」

”自分(人間)”と”夢”をテーマにした楽曲はすべからく自分(人間)が主語となっており、自分(人間)が夢の上位にあるような位置づけとなっているが、この曲は違う。夢があるから自分がいるという構成になっているのである。誰にでもきっと夢はあり、それが自分を生かしているのではないだろうか。大げさではなく日本の後世に残したい一曲と言える。

メロディについても言うことはないだろう。

これだけ夢や未来への思いを乗せることができ、クラップをし、終わったら力の限り拍手をしたくなるメロディは他に見当たらない。

そして最後は、これに触れないわけにはいかないだろう。アニメーションだ。

アニメでは恐らく史上初の試みであると思うが、楽曲をフルで流し、それにすべてアニメーションの振り付けをつけている。ステージ上には総勢20人のアイドルが登場し、それぞれがその個性をもって違う動きをしながら歌って踊る。汗もかき、髪も乱しながら全力で最高の笑顔を届けてくれる。

まるでリアルのライブである。アイドルたちがそこに生きている。

このシーンは錦織監督が一人で描き上げたとのことだが、彼の才能となによりアイマスへの愛と情熱は未来永劫アイマスにとって代えの利かないものであることを改めて感じさせてくれる。

エンディング

そして、大団円のエンディング。新曲「虹色ミラクル」に乗せて、スタッフロールとアイドルのエピローグ映像が流れる。

ここにも愛が詰まっている。

このエピローグ映像はすべて新規カットで、作中の総集編ではないのだ。

響・やよい・真美の新ユニットプロジェクトを律子が発表しているシーン、志保と伊織が二人で踊っているシーン、出番のなかったミリオンの他のメンバーがオーディションらしきものを受けているシーン、そしてシンデレラガールズから唯一の出演となった渋谷凛が渋谷駅前の大画面で流れたアリーナライブの映像に目を向けるシーン、などである。

そして最後はプロデューサーがハリウッドから帰ってきて春香たち全員に迎えてもらうシーンで締めている。

本当に最初から最後まで愛がぎっしり詰まっている作品である。

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その他

作品そのものの話ではないが、アイマスらしくその周辺の出来事も思い出とドラマが多い。

公開初日のプレミアム舞台挨拶

新宿バルト9で公開初日の舞台挨拶が行われたが、なんと765アイドルの声優陣12人に加え、事務員の音無小鳥役の滝田樹里さん、プロデューサー役の赤羽根健治さんの総勢14人が登場するという超豪華な舞台挨拶となった。

挨拶も上映前・上映後両方行われ、全国の映画館にライブビューイングもされた。この舞台挨拶だけでもイベントとして成立するくらいの時間とボリュームで行われた。実にアイマスらしい。

また涙があふれそうになる場面も多くあった。中村さんや今井さんの表情もそうだが、特に錦織監督からの手紙による挨拶はとても心に響くものだった。上映前の手紙は秋月律子役の若林さん、上映後の手紙はプロデューサー役の赤羽根さんが代読してくれたが、アイマスに関わっているすべての人の涙腺が刺激される場面となった。

数えきれないほどの舞台挨拶

初日のプレミアム挨拶に始まり、その後も連日全国で舞台挨拶が行われた。ミリオンを含む出演声優陣が全国の様々な映画館に登場し、舞台挨拶という名のトークショーが上映期間中数多く開催された。

VideoM@ster版上映

2014年5月末でいったん公開を終えたが、9月にはブルーレイ・DVDの発売にあわせてブルーレイ・DVD版の映像を映画館で上映するという「VideoM@ster版」の上映が全国40館で行われ、年末まで公開され続けた。

また、この「VideoM@ster版」の上映においても出演声優陣による舞台挨拶が数多く行われた。

劇場版を1年間皆で目いっぱい楽しめるこの感じも実にアイマスらしかった。

【関連商品】限定版ブルーレイ(※本編以外にもプレミアム舞台挨拶の模様やシャイニーフェスタのアニメ3話分などの映像を収録した特典ディスクあり)

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