久保建英マッチレポート U24日本代表VSU24アルゼンチン代表(2021.3.29国際親善試合)

久保建英マッチレポート U24日本代表VSU24アルゼンチン代表(2021.3.29国際親善試合)

【関連記事】

Advertisement

試合結果

3-0 日本勝利

試合トピックス

44分 日本GOAL>>ディフェンスラインのロングフィードから抜け出した林がキーパーと1対1となりゴール

68分 日本GOAL>>左サイドのCKから久保のアウトスイングのボールに合わせた板倉がヘディングでゴール 【久保アシスト】

72分 日本GOAL>>左サイドのCKから久保のアウトスイングのボールに合わせた板倉がヘディングでゴール 【久保アシスト】

75分 久保OUT、三好IN

Advertisement

久保・日本代表詳報

この試合、日本は90分間集中していた。

特に守備時におけるボールへの反応はこれまでの試合で最もよかった。ボールへの執着を見せ、外されてもくらいつき、味方同士でお見合いをすることもなく、相手との間合いも詰めることができていた。チーム全体で出足と粘りが鈍ることはなかった。

こうした試合に慣れているアルゼンチンの選手たちに主導権を握らせなかったのがそのいい証拠だ。彼らは明らかにうまくいっていないフラストレーションを持ち続けていた。

これは本番に向け重要な成果であろう。本番ではこれくらいやってようやく勝ち点に手が届くと考えておいたほうがいい。守備時の集中力とインテシティはこの試合で披露したものを最低限の基準としておきたい。

一方、攻撃面では前の試合から改善が見えた点と見えなかった点が混在していた。

まず、改善が見えた点はセットプレーで得点を奪えたことである。かつては全世代共通で日本の大きな武器であったセットプレーも近年は武器ではなくなっていた。その課題に対する回答はこの試合で見出すことができた。

久保のキックのクオリティはワールドクラスであった。久保が描いた美しくシャープな軌道は彼が特別な選手であることの証だ。今季はELの舞台でも同様に素晴らしいアシストを見せているがそれを彷彿とさせるものであった。彼のキックから得点を奪えたことは、本番でも得点のための明確な拠り所ができたことを意味する。

改善が見えなかった点は、能動的なゴールチャンスの少なさである。0ではないが、前の試合同様久保が前を向いてボールを持ったときの限られた回数しかゴール前に迫ることはできなかった。チーム全体の攻撃を促す1トップのアクションは不十分で、サイドでの数的優位に基づく攻撃も(前の試合の反省から意識は高かったものの)十分ではなかった。メダルを狙うならこれをもう少し増やしていきたい。

サイドアタッカーには縦への突破を売りにした選手を配置できる日本ではあるが、本番でやすやすと1対1はつくれないし、インテンシティも全く違う。彼らの能力を生かすためにももう一列低い選手のサポートを絡めて攻撃したいところだ。相手との力関係に基づく判断が必要になる部分でもあるが、自国開催のメリットを生かし勇気と積極性を見せるべきポイントだろう。

1トップに関してはそこに配置される選手個人の能力や適性が大きく反映されるところでるため、一朝一夕にはいかない課題であるが、4-2-3-1というフォーメーションを採用する以上避けては通れない。1トップには日本では縦への抜け出しを得意とする選手が多いため、それを踏まえショートカウンターを軸とした戦術を現在は採用しているが、これはボールが行き来し、かなり消耗するやり方だ。もう少し攻撃の時間をつくるためのアクションをとることも考えるべきだろう。足元が上手でなくてもスピードがなくてもサイズがあり身体を張れる選手を本番では1人スカッドに加えておくべきだ。

ただいずれにせよこの2連戦の成果は大きかったと胸を張って言えるだろう。強豪国相手に勝利できたこともそうだが、久保を中心としたチームビルドの目途が立った。一本軸ができると、様々なことが構築しやすくなる。本番前にそのステップに入ることができた。これは勝利とともに日本にとって大きな自信となる。

次の6月シリーズではさらなるチーム力のブラッシュアップと本番の様々なシチュエーションを想定した選択肢の構築を期待したい。

なお、この試合での選手個々の評価という面では、2アシストを決めた久保や2ゴールを決めた板倉以外に出色の出来を見せたのはいわゆるボランチのポジションに入った田中だ。落ち着いたプレーで急ぎがちになる日本に適切な時間とタイミングをつくった。彼のプレーが日本の選手たちの良い距離感を生み出した。それにより攻守ともにアルゼンチンに対し主導権を握ることができた。この試合の調子を維持する限り2枚のディフェンシブなMFのファーストチョイスは板倉・田中だろう。

さて、久保であるが、この試合でも前の試合に引き続き、4-2-3-1のトップ下で出場している。75分にお役御免となったが、右・左・センターと自在に動きチームの攻撃を牽引している。ピッチ上にいる22人の中で最も試合に影響力のあった選手であることは明らかだった。

セットプレーで2アシストを記録したが、それ以外にも両サイドでの崩しやセンターでのアタックを担当し、アルゼンチンの守備時の目線をくぎ付けにした。久保のいる位置に常にアルゼンチンの選手の警戒意識が向くため、それが日本の攻撃時における選択肢を生み出すことにもつながった。

まだフィットしていない場面もあることは確かだが、アルゼンチンの選手相手に完全に優位に立っている唯一の選手であった。彼の存在とクオリティは日本にとって五輪に向けた大きな武器である。

東京五輪代表はこの2試合で久保を中心としたチームにようやく変貌を遂げることができた。

あとは久保個人がその能力でシュートとゴールを生み出すことを強く期待したい。それができたとき一番良い色のメダルが見えてくるだろう。