久保建英のビジャレアル&ヘタフェでの2020-2021シーズンを総括する

久保建英のビジャレアル&ヘタフェでの2020-2021シーズンを総括する

2020-2021シーズンが幕を閉じた。

このシーズン、久保はビジャレアルの一員としてスタートし、後半戦はヘタフェの一員として戦った。

そんな久保のスペインでの2020-2021シーズンを総括したいと思う。

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総括

個人成績

1ゴール1アシスト(1093分出場)(ラ・リーガ)+1ゴール3アシスト(EL)=2ゴール4アシスト

2019-2020シーズンはマジョルカで4ゴール4アシスト(2513分出場)であったため、正直物足りない数字だ。

ラ・リーガにおいては、出場時間数は半減しゴールとアシストは4分の1になっている。

昨季より激しいポジション争いにさらされたため、結果が出ない→出場時間が増やせない→結果が出ない→出場時間がますます減る、という負のサイクルに陥ってしまった。これにより困難なシーズンになってしまった。

久保に対する相手チームの研究が進んだという状況はあるにせよ、別に能力が落ちているわけでもないため、結果を出せなかったことがこうした年間成績になったことのたった一つの理由という見方が可能だろう。(実際に結果を出した試合、その直後の試合では監督もしっかりと久保にプレータイムを与えている。つまり能力値がチームメイトに劣っていたわけではないということだ。)

昨季よりステップアップを果たし、マジョルカよりもレベルの高いチームに所属したことからポジション争いの牙城を崩せなかった。

来季の進路は現時点では不明だが、再度チャレンジし、まずはこのクラス(ラ・リーガ中位勢)で絶対的なレギュラークラスになる選手を目指すべきかもしれない。

【参考】主要同年代選手との比較(2020-2021ラ・リーガ)

ヴィニシウス(マドリー)3ゴール3アシスト(1971分出場)
ロドリゴ(マドリー)1ゴール6アシスト(978分出場)
ジョアン・フェリックス(アトレティコ)7ゴール5アシスト(1570分出場)
ファティ(バルサ)4ゴール0アシスト(436分出場)

★2019-2020シーズンの久保の総括はこちら↓

ELデビュー&初ゴール・初アシスト&1試合3ゴールに関与

今季、久保は遂に欧州カップ戦の舞台にデビューを果たした。

加えて、1試合で3ゴールに絡む働きも見せた。10代の選手として欧州カップ戦の舞台で1試合3ゴールに関与した(1ゴール2アシスト)日本人選手は久保が初めてなのではないだろうか。

日本サッカーにとってはエポックメイキングな出来事である。

ようやくこうした選手が出てきた。喜ばしいことである。

★久保が1ゴール2アシストを記録した試合内容の詳細についてはこちら↓

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パフォーマンス

昨季からクオリティが落ちたわけでも、相手に研究されそれを打開できなくなるなど能力的に行き詰ったというわけでもないことは明らかだが、常にプレータイムに対するプレッシャーにさらされたため、自信とリズムを失う時間が多かった。

久保は、途中出場から与えられた役割でリズムをつくる選手というよりは、長時間のプレータイムの中でその戦況把握能力や判断力を生かし試合に影響力を発揮しながらリズムを構築していく選手である。

プレータイムが限られている中では、与えられた役割に邁進してリズムをつくっていく選手に比べ多くの困難が伴ったことは事実だ。

久保の戦況把握能力や判断力はバルサの選手並に高いものがあるのでこれをスポイルする必要は決してないが、プレータイムが限られた中でもこうした能力を生かすための術を身につけることが今後の課題だろう。

つまり、リズムが悪くても、調子が悪くても、ゴールという結果を端的に出すプレーを増やす必要があるということだ。

そして、それは恐らく技術的な面と言うよりはマインドセットを変えることで可能になるのではないだろうか。

例えば、多少守備をサボっても、体格的に負ける確率の高いコンタクトプレーを選択してでも(美しいプレーでなくても)、”ごっつぁんゴール”を狙うような心持ちを持つということだ。

結果がすべての世界。この術を身につけられれば、プレータイムも増え、久保本来の特長もより生きてくる状況が生まれるようになる。

来季はまずこの術を身につけることを期待したい。

なお、技術的な面で言えば、今季は右サイドオンリーではなく、左サイド、トップ下、2トップの一角としての役割を与えられることが増えたが、そこでのプレーについては進歩を見ることができた。

トップ下、2トップにも適正があることは既に周知の事実であったが、それらのポジションではその通り期待を抱かせるプレーを見せてくれた。

この2つのポジションでプレーしたときには、縦へのスプリントも増え、積極的にペナルティエリア内に侵出することが増えた。ペナルティエリア手前のライン間でうまくボールを受けチームにゴールに迫る新たな選択肢を提示することもできた。

サイドで独力でドリブル突破するより、コンビネーションやタイミングで多彩な攻撃を仕掛けるほうが久保の好みにはかなっていると思われるので、来季はこのポジションで結果を出し、プレータイムが増えることを期待したい。

一方、今季久保にとって最も重要なポジションは左サイドであった。

特にビジャレアル時代は監督のエメリは久保に対しここでのプレーを最も要求していた。この要求に応えられなかったことが結果が出なかったこと以外にプレータイムを伸ばせなかった理由になるだろう。

実際、プレーアングルの確保に苦心したことですべてのプレーが窮屈になり、特長を生かすことができなかった。

左サイドに左利きの選手を置くチームとしてのメリットは左サイドでもダイレクトに相手ゴールに迫れる可能性を増やすことにあるが、これを遂行できなかった。

別に縦に速い必要はない。オフザボールにおけるポジション取りやランニングリズムの妙で、プレーアングルを確保すればよいのだ。ビジャレアルにおけるこのポジションの前任者であったカソルラのように。

これについてはリーグ前半戦(ビジャレアル時代)で身につけることができなかったと言わざるを得ないだろう。

ただ、ヘタフェにおいて左サイドでプレーしたときはかなり良くなっていた。

ピッチで披露する時間は限られていたものの、彼なりに課題としてトレーニングから取り組んでいたのだろう。上記の課題をだいぶ克服していることが見受けられた。今季成長した点だ。

ヘタフェの残留を決めた今季初ゴールのシーンがその象徴的な場面になっているのではないだろうか。

来季はさらなるレベルアップを期待したい。

右・中央・前だけでなく左でチームに質をもたらすことのできる左利きの選手になれば、どのチームでも出場機会が増えるのは間違いないからだ。

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チーム成績

チームの成績という意味では、昨季のマジョルカは降格、今季のヘタフェは残留決定ということで、チームの結果に貢献できたという意味では今季の成果のほうが大きい。

特に、終盤の残留争いをかけた重要なゲームでゴールという結果を出し、残留に直接貢献できたことは久保にとって大きかった。

ヘタフェでは絶対的な主力とは言い切れなかったものの、現在世界最高のリーグであるラ・リーガで一部残留という結果を導くことができたのは大きな勲章だ。卑下せず誇るべきことだろう。

ビジャレアルもクラブ史上初ELを制覇した。久保はこのビジャレアルのELの予選ではゴールとアシストでチームの勝利に貢献している。これも決して忘れるべきことではないだろう。(EL優勝を果たすほどの高いレベルにあったクラブでポジションを取ることができなかったという見方も可能だからだ)

いずれにせよ、チーム成績としては昨季より実りのあるシーズンとなった。

ラ・リーガというレベルの高い場でのこの結果は繰り返すが決して卑下せず誇るべきことだ。

今後さらなるタイトル・勲章の獲得を期待したい。